NECパーソナルプロダクツの高須英世社長は新体制の中で、レノボNECホールディングスの社長と新たに発足したNECパーソナルコンピュータの社長に就任した。合弁後のパソコン事業の戦略を高須社長に聞いた。

高須英世(たかす・ひでよ)<br>1971年にNEC入社。2001年にNECカスタマックスの取締役常務。2006年にNECパーソナルプロダクツ社長。2011年7月、レノボとNECによる持ち株会社の社長およびNECパーソナルコンピュータの社長に就任。
高須英世(たかす・ひでよ)
1971年にNEC入社。2001年にNECカスタマックスの取締役常務。2006年にNECパーソナルプロダクツ社長。2011年7月、レノボとNECによる持ち株会社の社長およびNECパーソナルコンピュータの社長に就任。

■合弁について発表した2011年1月以降、事業戦略に変更はありましたか。

 基本的な戦略は発表時と変わりません。従来のNECパーソナルプロダクツの製品やサポートをこれからも提供します。一方で、ユーザーに見えない部分で効率化を進め、両社の相乗効果を最大限に出せるようにします。レノボは、NECがこれまで培ってきた日本における開発や、ものづくりを尊重してくれています。

 話し合いや情報交換の中で見えてきたのは、年間3000万台以上のパソコンを出荷するグローバルカンパニーのレノボが、徹底的な効率化を追求していることです。各国で製品展開を細分化し、人的リソースを管理し、最大の成果を出すためのシステムを構築しているのです。

■連携はどう進めていきますか。

 レノボとの合弁で、CPUなどの部材を国際的な規模で調達できるようになります。これは、コスト面で大きな意味があります。Windows 8などの、最新技術の情報も入手しやすくなるでしょう。グローバルに展開している大規模なメーカーの方が、マイクロソフトやインテルなどから、情報を入手しやすいからです。

 合弁の成果を出すためには、技術の連携が不可欠です。例えば、ThinkPadの堅牢性を高める技術などをNEC の製品に取り入れる可能性があります。

 レノボの製品がNECの技術を利用するケースも多くなるはずです。NECのパソコンには、テレビの視聴・録画、データの移行、デジタルカメラとの連携といった、パソコンを安心安全かつ快適に使うための専用ソフトウエアを添付しています。こうしたソフトウエアの連携は、早い時期に実現できるでしょう。

■サポート分野の業務を統合する狙いは。

 レノボの個人ユーザー向けの電話サポート業務を2011年10月から、NECパーソナルコンピュータが担当します。NECは個人ユーザーの顧客満足度の向上を目指して、電話サポートに力を入れてきました。コールセンターの運営、担当者の管理など長年の経験に基づくノウハウがあります。レノボのユーザーに対して、同じ品質のサポートを提供できる体制を作ります。

 企業ユーザーに対しては、当面それぞれが現状のサポートを継続します。将来はNECの保守サポート拠点である群馬事業場がレノボと連携する可能性もあるでしょう。海外展開をしている日本の企業が、NECのパソコンを海外で利用するときに、レノボの海外拠点でサポートを受けられるようにする計画もあります。これは2011年度中に実現します。

■ユーザーからの期待にどのように応えていきますか。

 ポイントは3つあります。1つはサポートです。とことん丁寧なサポートでユーザーの満足度を高め、我々のパソコンをまた選んでもらうようにします。

 2つ目は、市場を牽引する革新的な製品を作り続けることです。かつてパソコンの用途といえばワープロでしたが、インターネットやデジカメなどの普及で、用途が格段に広がりました。今は、スマートフォンやタブレット端末と連携するハブとしての機能がパソコンに求められるようになっています。私たちは、革新的な製品で、新たな用途を創出します。

 3つ目は価格です。部材調達の共通化によるコスト削減を生かして、より価格性能比の高い製品を提供します。