マイクロソフトの「延長サポート」がもうすぐ終了
パソコンソフトは故障がないから、一度買ったらずっと使い続けられると思っていないだろうか。そうとは限らない。実はマイクロソフトオフィスは、10年以上たつと、事実上使えなくなる。近いところでは、2001年6月に発売されたOffice XPが、7月12日に実質的な期限切れを迎える。Office XPは3世代前の製品だが、PC21の読者でも2割弱の人が利用しており、まだまだ現役(図1)。なぜ使えなくなるのだろうか。
それは、マイクロソフトの「延長サポート」が切れるからだ。
同社のサポートは2段階になっている(図2)。まず発売から最初の5年間が「メインストリームサポート」の期間。メールや電話による無料サポートや、新機能追加の要望を受け付けるなどのサービスがある。さらに、ソフトの脆弱性(セキュリティ・ホール)を修復するための「セキュリティ更新プログラム」が無償提供される。次の5年間は、「延長サポート」の期間となり、提供されるサービスが減る。具体的には、メールや電話による有償サポートと、無償のセキュリティ更新プログラムだけになる。
延長サポートも切れると、セキュリティの更新が止まり、脆弱性を修復できなくなる。すると、新たに見つかる脆弱性が放置される。1つ脆弱性が見つかると、それを狙って何百種類ものウイルスが登場する。もしセキュリティソフトの対応が間に合わないと、パソコンがウイルスに感染しやすくなる。例えば、メールで送られてきたワードの文書を開いただけでウイルスに感染し、自分のパソコンを遠隔操作されてしまう可能性もある。オフィスのような、膨大なユーザーを抱えるアプリケーションソフトを狙うウイルスは、最近増えているという。
7月以降、1つも脆弱性が発見されなければ使い続けても問題ないが、まずそれは考えられない。Office XPでは、2009年に3つ、2010年に2つ、そして今年も既に1つ脆弱性が見つかっている。発売から8年以上経過しても、毎年のように見つかるのだ。
トレンドマイクロRegional Trend Labsの原良輔課長代理も「できれば、もうOffice XPは使わないでほしい」と警告する。
[注]実際には、後継製品の発売日などとの関係で、10年ぴったりで終わるわけではなく、数カ月の余裕がある。また、Windows XPのように、特別にサポート期間が延長されることもある