東日本大震災も、携帯電話からの乗り換えを後押し

 昨年の秋以降、スマートフォンが急速に普及している(図1)。市場調査会社GfKジャパンによると、4月、家電量販店では、携帯電話の販売台数に占めるスマートフォンの割合が5割を超えた[注1]。実際、店頭では「3~4月は、スマートフォンに買い替える人が目立つ」(ビックカメラ新宿西口店)という。

図1 昨年後半から、着実に販売比率を伸ばしているスマートフォン。量販店における販売比率は、今や携帯電話全体の約5割を占めている
図1 昨年後半から、着実に販売比率を伸ばしているスマートフォン。量販店における販売比率は、今や携帯電話全体の約5割を占めている
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 なぜ、人気が高まっているのか。その理由としては、魅力的な新機種の登場が挙げられる。昨年6月発売の「iPhone 4」が大きく売り上げを伸ばしたのに続き、アンドロイド搭載機では、10月発売のサムスン「ギャラクシーS」がヒット。さらに今春、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「エクスペリア・アーク」やNECカシオモバイルコミュニケーションズの「メディアス」など、有力メーカーが新商品を立て続けに発売した。

 GfKジャパンでは「現在、携帯電話の契約数は1億2000万回線あるが、昨年までのスマートフォンの割合は約1000万回線。今年は一気にその数は2倍になる」(コンシューマーテクノロジー事業部テレコム・フォトビジネスユニットの平岡卓朗ビジネス統括マネジャー)と予測する。今夏発売予定の新製品には、ワンセグや「おサイフケータイ」といった携帯電話の人気機能が続々と搭載される見込みだ。携帯電話から乗り換える垣根が低くなり、スマートフォンの販売台数増加を大きく後押ししそうだ(図2)。

図2 夏以降はワンセグやおサイフケータイ機能が搭載予定。今後は、太陽光発電機能や携帯電話のようなテンキーなども期待したい
図2 夏以降はワンセグやおサイフケータイ機能が搭載予定。今後は、太陽光発電機能や携帯電話のようなテンキーなども期待したい

 東日本大震災もスマートフォンへの乗り換えのきっかけになっているという。地震を機に、スマートフォンは「ツイッター」などの簡易ブログの利用に便利な端末として知られるようになった。電話が不通のときでもインターネット回線はつながっていたため、ツイッターで連絡を取る人が多かった。ツイッターの投稿数は震災当日、通常の1.8倍に増加したという[注2]。

 もう1つ、地震をきっかけに見直されたのが、スマートフォンの地図機能だ。首都圏では震災直後に交通機関がマヒし、自宅まで歩いて帰る人が続出した。スマートフォンの地図アプリは、画面を指でなぞるだけで、地図のスクロールや拡大ができる便利さが改めて評価された。震災以降、専用の補助バッテリーも売り上げを伸ばしている(図3)。

 スマートフォン人気は今後も続きそうだ

図3 震災以降、大容量バッテリーも注目を集めている。「CP-A2LS」は、スマートフォンを2回充電できる
図3 震災以降、大容量バッテリーも注目を集めている。「CP-A2LS」は、スマートフォンを2回充電できる

[注1]携帯電話会社の直営店と量販店を合わせたスマートフォンの販売比率は約3割
[注2]NECビッグローブの調査結果