香川県丸亀市立城北小学校
各教室に置かれた電子黒板。「今ではどの教室でも、毎日1度は電源を入れている」──そう話すのは、香川県丸亀市立城北小学校でICTの活用を推進する、増井泰弘教諭だ。
文部科学省の指定校に選ばれた同校では、2010年1月、教室に1台ずつ電子黒板が整備された。配線が完了した状態で常に教室に置かれているため、電源を入れるだけで使える。この手軽さが、ICTに詳しくない教員にも受け入れられている。
電子黒板は、授業を分かりやすくするためのツールになる(図1)。例えば、教科書中で今学んでいる個所を大きく表示する。「○ページを見て」と指示するだけでは、迷う子どもがいるからだ。また「必要な個所だけを映し、それ以外を“見せない”ことができる」(増井教諭)ため、授業内容に集中させられる。
大きく映すことにも意義がある。例えば立方体の問題。問題文の「辺AB、辺CD」という表現だけでは、どの辺なのか分かりにくい。従来なら時間をかけて黒板に立方体を書いて説明していたが、この無駄が省ける。そのぶん、子どもたちの机を回って指導する余裕が生まれた。
授業のスピードも上がる。黒板に書いて、消して、また書いて……の繰り返しでは、授業が間延びする。増井教諭はデジタルペンとデジタル教材を駆使し、テンポ良く画面を拡大したり、ページを切り替えたりする。画面が迅速に切り替わるため、子どもたちは飽きずに学べる。
活用の方法は多彩。例えば社会科で古墳が出てきたら、ネット上の地図サービスにアクセスして位置や大きさを実感させる。理科なら衛星写真にアクセスして雲の動きを確認する。図工なら、実際の作品を映し出す。今や「どの教科でも当たり前のように使っている」(増井教諭)ほど、欠かせないツールだ。
動画編集でプレゼン力向上
児童にも、積極的にICTを使わせている。増井教諭が題材にするのは、動画編集だ(図2)。子ども向けソフトの「ロイロエデュケーション」(開発・販売はLoiLo)を使い、短い動画を作る。例えば遠足の報告ビデオの作成。当日撮影した写真を組み合わせ、30秒の動画に仕立てる。
動画編集によって、「子どもの“プレゼン力”を高められる」と増井教諭は言う。バラバラに存在する素材をまとめあげて人に何かを伝える、という訓練になるからだ。
もちろん、手書きのポスターや新聞作りのような、アナログ作業の重要さは今も変わらない。ただデジタルにも、簡単に写真を撮ったり編集したりできるという強みがある。これを生かして「子どもたちに、できるだけいろいろな経験をさせてやりたい。その中で自ら気付くことがあるだろうし、その方面に才能を伸ばす子も出てくるだろう」と増井教諭は考えている。