学校教育の現場で、パソコンやインターネットが急速に存在感を増している。特に2009年は、教育の情報化にとって歴史的な意味のある1年となった。「スクール・ニューディール」によって、設備面の整備が大幅に進展したのだ。

 スクール・ニューディールとは、経済対策の一環として2009年に国が発表した構想。学校現場に大規模な資金を投入し、教育の情報化を推進するものだ。この構想に沿って、2009年度の補正予算には2000億円以上の予算が盛り込まれた(図1)。8月の政権交代によって予算の一部は執行停止になったものの、全国の学校でICT(情報通信技術)環境の整備が進んだ(図2)。

【「スクール・ニューディール」で大規模予算を投入】
図1 2009年度の補正予算には、「スクール・ニューディール」との名称で、教育の情報化を目的とした予算が2000億円以上盛り込まれた。その後の政権交代によって一部は執行停止になったものの、インパクトは大きかった
図1 2009年度の補正予算には、「スクール・ニューディール」との名称で、教育の情報化を目的とした予算が2000億円以上盛り込まれた。その後の政権交代によって一部は執行停止になったものの、インパクトは大きかった

【設備面の整備は大幅に進んだ】
図2 文部科学省の調査「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の結果。パソコンの整備状況は、国の目標値(児童生徒用は3.6人に1台、教員用は1人に1台)に対する充足率を示した。なお2010年は3月31日時点、それ以外の年は3月1日時点の数値
図2 文部科学省の調査「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の結果。パソコンの整備状況は、国の目標値(児童生徒用は3.6人に1台、教員用は1人に1台)に対する充足率を示した。なお2010年は3月31日時点、それ以外の年は3月1日時点の数値
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ICTで学力が上がる

 教育現場でのICTの活用には、さまざまな利点があることが知られている。まずは、児童生徒がICTを使いこなせるようになる。また教員は、授業の質を向上させるツールとして活用できる。英語の授業で発音を学ぶのに、CDなどを利用するのと同じイメージだ。

 例えば、整備が進んだ電子黒板(図3)。デジタル教材などをそのまま投影できるため、板書の手間を削減できる。重要な個所を拡大する、電子ペンで書き込むといったことも可能で、児童生徒に分かりやすい説明をするのに一役買う。音声や動画、ネット上のサービスなど、教材の幅を広げることもできる。

【全国に導入が進んだ電子黒板】
図3 電子黒板は、ペンなどで画面に触れることでさまざまな操作ができる機器。左はタッチパネルを用いた製品、右は従来型の黒板に取り付けて使う製品だ。黒板上に設置したセンサーを使ってペンの位置を測定する。教材の内容は、天井のプロジェクターなどから照射する(写真左は愛知県小牧市立光ヶ丘中学校、右は内田洋行の施設)
図3 電子黒板は、ペンなどで画面に触れることでさまざまな操作ができる機器。左はタッチパネルを用いた製品、右は従来型の黒板に取り付けて使う製品だ。黒板上に設置したセンサーを使ってペンの位置を測定する。教材の内容は、天井のプロジェクターなどから照射する(写真左は愛知県小牧市立光ヶ丘中学校、右は内田洋行の施設)
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