BlackBerryを使っていると、よく「BlackBerryは、どんなところに魅力があるんですか?」と聞かれます。実際、BlackBerryの良さは使ってみて初めて分かるもののように思えます。本体や画面を見ただけでは分からないでしょう。言葉だけで伝えるのは難しいのですが、今回は、BlackBerryの良さを表現してみようと思います。

 こういう質問をされたとき、筆者は、「仕事でメールを数多く扱うなら他のスマートフォンより使いやすいよ」ということにしています。筆者はこれまで、いろいろなスマートフォンを使ってきましたが、少なくとも、必要なメールを探したり、メールに返事を書くという点で、BlackBerryより便利だと思えるものはありませんでした。

 1番のメリットは、大量のメールをやり取りしていても、メールを見つけるのが簡単で、なおかつ、長文の返事が書きやすいという点です。BlackBerryのメールクライアントは、メールが一日単位で分類されていて、「p」「n」キーを使うことで、一日単位でメッセージの一覧を移動できます。また、検索では、「この人のメール」「このタイトルのメール」で簡単に検索でき、そうでない場合でも、「差出人」「タイトル」「内容」で検索が可能です。日付単位の移動は、「日付」による検索と同等と考えることもできるので、BlackBerryでは、メールを4つのカテゴリーで検索可能と考えられるでしょう。

 特に便利なのは、リストで現在選択しているメールと同じ差出人からのメール、同じタイトルのメールを検索する機能です。仕事でメールを使うと、何回かのやり取りがあるため、情報が複数のメールに分散することになりがちです。こういうとき、差出人やタイトルで簡単に検索できるのは、かなり便利です。

 キーボードが打ちやすく、BlackBerry Boldなら本体をスライドさせたり、横向きにする必要がなく、すぐに返事を書き始めることができるのも便利です。それから実際に使ってみると分かるのですが、BlackBerryの仮名漢字変換機能は、かなり的確な変化を行い、単語登録の必要がほとんどありません。入力文字種の切替も「文字」キーで簡単にできるし、カタカナへは、ひらがなからの変換も可能です。

 この他に便利なのは、複数のメールアカウントがあっても1つのメッセージボックスですべてのアカウントで受信したメールを見ることができることです。もちろんアカウントごとに個別に見ることもできるます。例えば、仕事とプライベートで別のメールアカウントを使っているとしましょう。仕事中とはいえ、日中すぐに返事したいプライベートのメールが来ることもあるでしょう。あるいは、仕事が終わってからでも、仕事のメールが来るかこともあります。BlackBerryでは、こうした場合、仕事やプライベートのメールを1つのメッセージボックスで見ることができるので、いちいち切り替えてメールをチェックする必要はありません。逆に、仕事のメールだけを探したいなら、そのアカウントのメールボックスだけを見ればいいのです。

統合できるのはメールだけじゃない

 しかも、BlackBerryのメールボックスに統合されるのは、メールだけでなく、SMSや留守録(米国ではボイス・メールといいます)、Twitterやメッセンジャー(MSN、Google Talk、BlackBerryメッセンジャー)などのアプリケーションなどもここに統合されるのです。我々がコミュニケーションする相手は、それぞれのコミュニケーションツール(プロトコルあるいは手段)でつながっています。ある人とはMSNメッセンジャーで会話するけれど、別の人とはTwitterでやり取りするということになります。音声通話でしかコミュニケーションしないという相手もいるでしょう。人によって、メインで利用するコミュニケーションツールが違っており、複数のコミュニケーションツールを使う必要があります。このとき、BlackBerryは、各種のコミュニケーションツールを統合したメッセージボックスを提供してくれるのです。

 PCを使っているとき、メールやTwitter、メッセンジャーなどはそれぞれ個別のソフトウエアを使います。複数のウインドウを同時に表示できるマルチウインドウなので、別々のインターフェースでもあまり困りません。しかし、画面の小さいスマートフォンでは、複数のツールを同時に使うのはかなり面倒です。いちいちアプリケーションを切り替えて使うので、複数のコミュニケーションを同時に行うのはかなり難しくなります。しかし、BlackBerryでは、普段は、メールボックスさえ見ていれば済みます。ここにTwitterやメッセンジャーそして、電話の着信などがすべて記録されます(ただし、Twitter記録は、開くとメッセージボックスから消えてしまいます)。だから、記録して検索もできるし、どのツールでコミュニケーションしているのかはあまり気にしなくてもいいのです。それぞれのツールは、このメッセージボックスから起動することができ、メッセージを見るだけでなく、返事する状態で起動させることも可能です。

 ここまで完全に統合されていないものの、国内向けには、mixi for BlackBerryが、ドコモのアプリケーションサイトから入手可能です。電話やSMS、メール、Webに加え、TwitterやMSNメッセンジャー、mixiがあれば、かなりのコミュニケーションがカバーできます。

 また、ソフトウエアによっては、ホーム画面に小さなアイコンを表示し、メッセージ状態を表示できます。同時に、アプリケーションアイコンにメッセージが届いたことを示すマークが付きます。アプリケーションのアイコンを最上段に配置しておけば、いつでもチェックが可能です。

 もちろん、他のスマートフォンでも、TwitterやMSNメッセンジャーは利用可能です。BlackBerryは、これらを1つのメッセージボックスで管理可能だという点が違います。メールなどを含め、コミュニケーションは、それが行われている時点でも重要なものですが、記録としても重要なものです。過去のメールや、メッセンジャーのやり取りにあった情報を探す、あるいは、前回電話した日時とその後のメールの日時を見て、相手が何を受け取っていて、何を受け取っていないのかを把握する。こうしたことにコミュニケーションの記録は役立ちます。ところが、それぞれのコミュニケーションが個別のソフトで管理されていると、それぞれを見なければなりません。パソコンのWindowsならば、複数のウインドウを並べて簡単にできることも、画面の小さいスマートフォンでは、簡単な作業ではありません。ところが、BlackBerryは、コミュニケーションを1つのメッセージボックスで管理できるために、簡単にできるのです。

「メッセージ」には、電話の着信やTwitter、MSNメッセンジャーの通知がメールとともに登録される。ここを見るだけで、さまざまなコミュニケーションを一括管理できる。
「メッセージ」には、電話の着信やTwitter、MSNメッセンジャーの通知がメールとともに登録される。ここを見るだけで、さまざまなコミュニケーションを一括管理できる。
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ホーム画面の上部には、メールやアプリケーションの通知が行われ、コミュニケーションツールのアイコンには、新着情報を示す赤いアスタリスクが付くなどして、ユーザーに通知を行う。
ホーム画面の上部には、メールやアプリケーションの通知が行われ、コミュニケーションツールのアイコンには、新着情報を示す赤いアスタリスクが付くなどして、ユーザーに通知を行う。
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ドコモアプリケーションサイトからダウンロード可能なmixiクライアント。バックグラウンドで動作し定期的にmixiの新着情報をチェックできる。
ドコモアプリケーションサイトからダウンロード可能なmixiクライアント。バックグラウンドで動作し定期的にmixiの新着情報をチェックできる。
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通知方法を瞬時に切替可能というのも重要なポイント

 さらに、各コミュニケーションツールが新着情報を受け取ったときの通知は、BlackBerryのプロファイルで一括して管理できます。このため、メールやTwitter、メッセンジャーの通知をプロファイル内に個別に設定し、プロファイルでまとめて切り替えることができます。例えば、仕事中ならメールの通知と電話着信音のみで、ほかは振動通知のみとしたり、プライベートのときにはTwitterなどの通知音を大きくしたり、といった切替が瞬時に行えます。通知の設定のために個々のアプリケーションを個別に設定する必要はないのです。

 携帯電話は多くの場合、ポケットに入れるなど、身近に置くことが多いのですが、画面を四六時中見ているわけではありません。そうなると、音や振動による通知の設定は必須です。ところが、個々のアプリケーションにその設定が分散していると、それぞれを一々変更していくのはかなり面倒です。ですが、BlackBerryの場合、これを「プロファイル」で一括して管理できるというメリットがあるのです。これも、通知はコミュニケーションには必須の機能ですが、切替が簡単でないと、結局、全部の音を出す、出さないという設定になってしまい、重要な通知を逃したり、静粛な雰囲気の中で携帯電話の着信音が鳴るといったことになりかねません。通知音の設定切替が簡単にできるというのは重要な機能といえます。

 筆者は、BlackBerryの最大の特徴は、やはり、このコミュニケーション機能にあると思っています。他のプラットフォームでも、統合メールボックスや、ソニーのXperiaのTimescapeのような機能が搭載されつつあります。コミュニケーションを集中して管理できることは、今後は必須の機能といえ、BlackBerryはこれをいち早く実現しており、他のプラットフォームが後を追っている状態なのです。