4月末に米国で開催されたResearch In Motion(RIM)のイベント「WES2010」で、COO(Chief Operating Officer)のDon Morrison氏(以下敬称略)に話を聞く機会を得た。

日本のマーケットについて、どのように見ていますか?

Morrison■市場は大きいと把握しています。現在日本では、エンタープライズ向けを中心に展開しています。このビジネスは、成果が出るまで長い時間がかかるので、評価は、まだ下せないと考えています。しかし、NTTドコモという良いパートナーがいるので、結果が出せると信じています。

海外展開の方針は?

Morrison■現地の事情を優先して展開します。携帯電話は、多くの国で、通信事業者が販売しています。そのため、まず重要なのがローカライゼーションとなります。どの国でも、自分たちの言語を使いたいという気持ちは同じです。CEOのMike Lazaridisも、言語の対応が重要と認識しています。
 まだ、BlackBerryが世の中に登場してから10年しかたっていません。我々は、まだ若い会社なので、世界で展開をするには、各国で活動している企業と提携するのがベストです。

世界的にみると、エンタープライズよりも、個人で購入して仕事に使うというユーザーが半分以上と聞いています。日本では、こういった個人ユーザーをどう取り込んでいくのでしょう。

Morrison■日本でも可能性はあると考えています。ただ、我々は、日本のマーケットや流通について、日本の企業ほど詳しく把握しているわけではありません。また、販売店に対して、知名度はそれほど高くありません。我々の製品はNTTドコモを通じて販売しているので、その戦略に沿ってビジネスを展開するつもりです。

日本でBlackBerry Boldが出てから1年以上経っています。今後の製品展開はどうなるのでしょう?

Morrison■NTTドコモから、新製品の発表があると思います。まだ、市場に可能性は感じています。これからの展開に期待してください。

昨年の開発者向け会議では、新しいWebブラウザーが発表されました。その状況はどうでしょう。

Morrison■Webkitをベースにしたものを現在開発中です。今回のデモを見ていただければ分かりますが、昨年より完成度も上がっています。開発者会議のときに発表したWedgetsは、既にDevice Software 5.0を搭載したBlackBerryで利用できます。

日本市場の印象はどうでしょう?

Morrison■日本市場は、世界の中でみても、大きな市場だと思います。我々にも、大きなチャンスがあると考えています。

「AppWorld」など、日本で行われていないサービスは導入されるのでしょうか?

Morrison■既に、アジアで10カ国で立ち上げています。日本では、NTTドコモと相談しながら進めることになります。
 日本では、開発者とのアライアンスプログラムを行おうと考えています。日本には、多くのデベロッパーがいるので、市場に合わせたアライアンスプログラムが必要です。これについては、時期が来たら詳細をお知らせします。
 日本では、エンタープライズ向けを中心に展開しています。この場合、ソフトウエアの開発が必要になることもあります。このため、日本の状況をよく理解している開発者と一緒にビジネスを行うことが必要と考えています。

これは、米国とは違うプログラムになるということですか?

Morrison■IT業界や携帯電話業界も地域により、いろいろと違いがあります。その実情に合わせることは必要です。

このプログラムは、エンタープライズ向けのみでしょうか?

Morrison■現時点では、そういうことになります。もちろん、コンシューマー向けの展開が必要になれば、それに対応します。

米国では、特にBlackBerryを「プロシューマー」、購入は個人だが仕事で利用する、という人が多いとききます。その理由は何でしょう。

Morrison■「コミュニケーションを迅速に行えるから」です。例えば、BlackBerryメッセンジャーで、お互いにすぐに連絡を取ることが可能です。最近では、当たり前のことですが、BlackBerryは以前からこれを実現していました。最近ではブランドが認知され、BlackBerryを持っていることが1つのステータスとまでなっています。

iPhoneやAndroidなど多くのスマートフォンが登場してきて、御社を含め、みな同じ方向を目指しているように見えます。その中で、BlackBerryの強み何でしょうか?

Morrison■我々には2つの強みがあります。1つは、米国でブランドを確立していることです。もう1つは、エンタープライズ向けのアプリケーションが多く、これを引き継いできています。メディア再生など、エンターティメント系のアプリケーションはいろいろな製品に搭載されていますが、企業向けや仕事で利用できるアプリケーションを豊富に持つとなるとBlackBerryに強みがあります。
 さらに最近のBlackBerryには、音楽やビデオを再生する機能も搭載しています。個人でも楽しめるし、エンタープライズには抜群に強い。これがBlackBerryのセールスポイントです。