◆日経パソコン 2010年1月11日号「2010年はこれが来る!」からの転載です。
2009年のスマートフォン市場は、米アップルの「iPhone」シリーズが独走し続けた。
図1は、iPhoneが国内に上陸した2008年7月以降、大手家電量販店で1カ月間に販売された携帯電話機のうち、iPhoneシリーズが占める割合を示したものだ。上陸時に大きな話題を呼んだ「iPhone 3G」は、08年末にいったんシェアが低下。その後、09年2月にソフトバンクモバイルが「iPhone for everybody」キャンペーンを実施したことで好転。本体価格を実質的に値下げし、かつ月々の通信料も割り引いたことが、シェア拡大の呼び水となった。さらに2009年6月には、最新機種「iPhone 3GS」が登場し、再び話題に。以後、7~10%程度のシェアを獲得し続けている。毎月、約10台に1台がiPhoneという計算だ。スマートフォンのカテゴリに絞れば、iPhoneのシェアは約80%に及ぶ。
盤石の地位を築いたかに見えるアップル。しかしながら、2010年は正念場を迎える。ライバルらが、本腰を入れてiPhoneに攻勢をかけるためだ(図2)。携帯電話会社は、新OSを搭載するさまざまなiPhone対抗機種を積極的に市場に投入する。
中でも、iPhoneの最大の対抗馬と目されているのが米Googleの「Androidケータイ」。「Android」とは、同社が開発したスマートフォンOS。Googleの各種Webサービスとの連動性が強みだ。
現時点で国内では、「docomo PRO series HT-03A」1機種を、NTTドコモが発売するにすぎない。2010年になると、KDDIとソフトバンクモバイルが新機種を投入。NTTドコモもラインアップを拡充する。
肝心なのは、アップルが独自開発するiPhoneと違って、多くのメーカーがAndroidケータイを開発中であること。現在Androidに関する業界団体に参加するメーカーは、米モトローラ、英ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、台湾HTC、韓国サムスン電子、東芝など11社。それ以外に、シャープも開発を進めている。