◆日経パソコン 2010年1月11日号「2010年はこれが来る!」からの転載です。
無料で利用できるウイルス対策ソフトの選択肢が増えている。無料の対策ソフトは以前から存在するものの、ほとんどは、一般にはあまりなじみのない海外メーカーの製品。日本語環境でも動作するが、多くは英語版。設定画面やヘルプメニューはすべて英語だ。このため、上級者以外にはハードルが高かった。
だが、2009年後半には日本語版の無料対策ソフトが3製品公開。そのうち1製品は、業界最大手のマイクロソフトからリリースされた。無料の対策ソフトは確実に導入しやすくなっている。2010年には、今まで「お金をかけたくない」という理由で導入していなかったユーザーにも、普及することが期待できる。
「メリッサ」ウイルスが出現した1999年以降、すべてのパソコンユーザーにとって、ウイルスは大きな脅威になっている。危険なウイルスがたびたび出現し、世界中で被害をもたらしている。
被害に遭わないための有効な対策の1つが、ウイルス対策ソフト(セキュリティ対策ソフト)の利用。しかしながら、対策ソフトの普及率は頭打ちだ。情報処理推進機構(IPA)がおよそ5000人の個人ユーザーを対象に実施しているアンケート調査では、調査を開始した2006年2月以降、普及率は70%強から80%弱を推移(図1)。およそ4人に1人は、対策ソフトを使っていない計算だ。
IPAでは、2009年8月の調査において、「対策ソフトを使っていない」と答えたユーザー1039人を対象に理由を尋ねた。すると、複数回答ではあるものの、56.4%のユーザーが「費用がかかる」を挙げた(図2)。これらのユーザーは、無料の対策ソフトなら導入する可能性が高い。