世の中はアップル製タブレット「iPad」の話題で持ちきりだが、実はその“親戚”とも言えるタブレットコンピューターが一足先に世に存在しているのをご存じだろうか。アップルのMacBookをベースにタッチパネルディスプレイを装着するなどのカスタマイズを施した「ModBook」(米Axiotron)がそれだ。

 iPadがiPhone OSをベースにし、コンテンツビューアーとしての立ち位置を鮮明にしているのに対し、ModBookはMac OS Xがフルに動作する正真正銘の「タブレットMac」。当然、クリエイティブな用途などプロの利用をも想定している。どのような経緯でこの製品が誕生したのか、京都産業大学コンピュータ理工学部講師の安田豊氏に誕生のいきさつをレポートしてもらった。(PC Online編集部)

アップルゆかりのタブレットModBookとは?

 ModBookは米ロサンゼルスに本拠を置くAxiotronの製品。実際には製品と言うより「改造(Mod)」サービスと呼ぶ方がふさわしいかもしれない。自動車などでよくやられている、ユーザーが自分で車を購入し、ディーラーで改造サービスを受ける、あの形態である。実際にAxiotronが販売しているのは、ワコム製の筆圧感知機能を備えたペンセンサーコンポーネントを搭載し、MacBookと組み合わせることで、直感的に文字や絵などを画面に直接入力できるようになる「ModBook Conversion Kit」だ。ユーザーはこのキットパーツを自身でMacBookに取り付けるか、ディーラーに自分のマシンを送って、取り付けてもらうことになる。国内ではPLUS YUが 2009年の11月から取り扱っている。

アップルのMacBookをベースに、筆圧感知機能を備えたペンセンサーコンポーネントを搭載した「ModBook」。日本における「ModBook Conversion Kit」の販売価格は、11万4800円。
アップルのMacBookをベースに、筆圧感知機能を備えたペンセンサーコンポーネントを搭載した「ModBook」。日本における「ModBook Conversion Kit」の販売価格は、11万4800円。
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 ModBookは2007年1月のMacworld Expoで初お目見えしており、2009年1月にはやはりMacworldの会場で、同社のアドバイザーとなったアップル共同創設者の1人であるスティーブ・ウォズニアック氏が説明イベントを行ったことで国内でも大きく取り上げられた。

 今回、ロサンゼルスのAxiotron本社にて、共同設立者でCEO(最高経営責任者)兼社長のアンドレアス・ハース氏に取材することができた。製品そのものについては既に各方面で紹介されているため、今回はModBookが誕生した経緯やハース氏の経歴や考え方などについて話を聞いた。なお、取材にはハース氏夫人にして共同設立者でもあるクミコさんにも同席いただいた。