エプソンダイレクトのデスクトップPCの位置付けとしては中堅機となる「MRシリーズ」が、開発コード名「Lynnfield」として知られるIntelの新型Core i7、Core i5を搭載可能な「MR6500」シリーズに生まれ変わった。これまでのCore 2 Quadシリーズを置き換える主力CPUを搭載したPCの実力を見ていこう。

 MR6500のきょう体は従来モデルを踏襲しており、比較的コンパクトなミニタワーケースだ。自作PCで使うPCケースは幅が205mm程度の製品が多いが、MR6500は幅が179mmと狭めで、スリムな印象を受ける。

前面にはUSB 2.0端子を3個備えるほか、SDメモリーカードやコンパクトフラッシュに対応したカードリーダーを内蔵している。
前面にはUSB 2.0端子を3個備えるほか、SDメモリーカードやコンパクトフラッシュに対応したカードリーダーを内蔵している。
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 サイドパネルを外すと比較的すっきりした内部構造になっていることが分かる。今回は2スロット占有タイプのグラフィックスボードを装着しているが、拡張スロットはPCI Express x16が1本、PCI Express x4が1本、PCIが2本あり、一般的な利用方法では十分な拡張性を持っている。3.5インチベイも2個空いており、ねじを外すと横向きに回転する機構もあるため、HDDは増設しやすい。

 動作時の騒音はやや気になる。グラフィックスボードに冷却ファンがあり、サイドパネルに通気口が開いていることもあって、静音をうたったほかのPCと比べるとファンの音が明確に感じられる。昼間のオフィスで使うなら問題無さそうだが、深夜に自宅で利用する場合などは気になるかもしれない。

小さめのケースだが配線はすっきりしている。電源ケーブルなどは端に寄せてあり、冷却を妨げない工夫がされている。空きスロットなどの拡張性も十分だ。
小さめのケースだが配線はすっきりしている。電源ケーブルなどは端に寄せてあり、冷却を妨げない工夫がされている。空きスロットなどの拡張性も十分だ。
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3.5インチベイは2個空いている。HDDを増設する際には2つの手回しねじを外すと、3.5インチベイが左回りに回転するため作業しやすい。電源ケーブルも増設しやすいように配線されている。
3.5インチベイは2個空いている。HDDを増設する際には2つの手回しねじを外すと、3.5インチベイが左回りに回転するため作業しやすい。電源ケーブルも増設しやすいように配線されている。
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背面には電源ファンとケースファンが見える。定格出力は350W。最近のPCとしてはパラレル端子を搭載するのが珍しい。IEEE 1394端子も標準で搭載する。
背面には電源ファンとケースファンが見える。定格出力は350W。最近のPCとしてはパラレル端子を搭載するのが珍しい。IEEE 1394端子も標準で搭載する。
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 CPUはCore i7-870(2.93GHz)、Core i7-860(2.8GHz)、Core i5-750(2.66GHz)から選択できる。すべてがクアッドコアCPUで、負荷によって動作周波数を動的に向上させる「Turbo Boost」にももちろん対応しており、最大動作周波数はそれぞれ3.6GHz、3.46GHz、3.2GHzとなる。DDR3-1333に対応したメモリースロットは4本ある。

今回の評価機が搭載していたCore i7-870。今後の主流となるLGA1156ソケットに取り付ける。
今回の評価機が搭載していたCore i7-870。今後の主流となるLGA1156ソケットに取り付ける。
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Core i7にはHyper-Threadingがあるため、タスクマネージャを起動すると8スレッドが同時に動作しているのが分かる。Core i5-750はHyper-Threadingを搭載しないため、4スレッド同時動作となる。
Core i7にはHyper-Threadingがあるため、タスクマネージャを起動すると8スレッドが同時に動作しているのが分かる。Core i5-750はHyper-Threadingを搭載しないため、4スレッド同時動作となる。
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 代表的なベンチマークテストで、MR6500の性能を計測してみた。テスト機の仕様は表の通り。結果はその下にまとめた。

●今回テストした製品の主な仕様
CPUCore i7-870(2.93GHz)
OSWindows Vista Home Premium(32ビット版)
チップセットIntel P55 Express
メモリーDDR3-1333 2GB×2
グラフィックスATI Radeon HD 4850B 512MB
HDD1TB
光学式ドライブスーパーマルチ
主なインターフェースUSB 2.0×9、IEEE 1394、Gigabit Ethernet、パラレルなど
ドライブベイ5インチベイ×2(空き1)、3.5インチベイ×3(空き2)
外形寸法幅179×奥行き396×高さ368mm
重量約10.4kg
直販価格(9月18日時点)15万5440円

●代表的なベンチマークテストの結果
PCMark0511356
3DMark0612971
CINEBENCH R10 Rendering(Single CPU)3726
CINEBENCH R10 Rendering(Multiple CPU)14633

 Webサイトの閲覧やメールソフトを使う程度ではオーバースペックであり、3Dゲームやハイビジョン動画の編集、デジカメで撮影した大量のRAWデータの現像といった負荷の高い作業を快適に行うためのPCといえるだろう。

 Windows Vistaの「エクスペリエンス インデックス」も計測したが、すべてが最高点となる「5.9」となってしまった。
 Windows Vistaの「エクスペリエンス インデックス」も計測したが、すべてが最高点となる「5.9」となってしまった。
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 MR6500は見た目は普通のビジネス向けPCながら、性能はハイエンドPCといえる製品だ。今回のテスト機の構成は約15万円で決して安価とは言えないが、CPUがCore i7-750、メモリーがDDR3-1333 1GB、HDDが250GB、グラフィックスがGeForce 9500 GT 512MBという基本構成なら8万8200円で購入できる。性能を求めるユーザーから、日常の作業を快適に行いたいユーザーまで幅広くお薦めできる製品だ。

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