エプソンダイレクトのデスクトップPCの位置付けとしては中堅機となる「MRシリーズ」が、開発コード名「Lynnfield」として知られるIntelの新型Core i7、Core i5を搭載可能な「MR6500」シリーズに生まれ変わった。これまでのCore 2 Quadシリーズを置き換える主力CPUを搭載したPCの実力を見ていこう。
MR6500のきょう体は従来モデルを踏襲しており、比較的コンパクトなミニタワーケースだ。自作PCで使うPCケースは幅が205mm程度の製品が多いが、MR6500は幅が179mmと狭めで、スリムな印象を受ける。
サイドパネルを外すと比較的すっきりした内部構造になっていることが分かる。今回は2スロット占有タイプのグラフィックスボードを装着しているが、拡張スロットはPCI Express x16が1本、PCI Express x4が1本、PCIが2本あり、一般的な利用方法では十分な拡張性を持っている。3.5インチベイも2個空いており、ねじを外すと横向きに回転する機構もあるため、HDDは増設しやすい。
動作時の騒音はやや気になる。グラフィックスボードに冷却ファンがあり、サイドパネルに通気口が開いていることもあって、静音をうたったほかのPCと比べるとファンの音が明確に感じられる。昼間のオフィスで使うなら問題無さそうだが、深夜に自宅で利用する場合などは気になるかもしれない。
CPUはCore i7-870(2.93GHz)、Core i7-860(2.8GHz)、Core i5-750(2.66GHz)から選択できる。すべてがクアッドコアCPUで、負荷によって動作周波数を動的に向上させる「Turbo Boost」にももちろん対応しており、最大動作周波数はそれぞれ3.6GHz、3.46GHz、3.2GHzとなる。DDR3-1333に対応したメモリースロットは4本ある。
代表的なベンチマークテストで、MR6500の性能を計測してみた。テスト機の仕様は表の通り。結果はその下にまとめた。
CPU | Core i7-870(2.93GHz) |
---|---|
OS | Windows Vista Home Premium(32ビット版) |
チップセット | Intel P55 Express |
メモリー | DDR3-1333 2GB×2 |
グラフィックス | ATI Radeon HD 4850B 512MB |
HDD | 1TB |
光学式ドライブ | スーパーマルチ |
主なインターフェース | USB 2.0×9、IEEE 1394、Gigabit Ethernet、パラレルなど |
ドライブベイ | 5インチベイ×2(空き1)、3.5インチベイ×3(空き2) |
外形寸法 | 幅179×奥行き396×高さ368mm |
重量 | 約10.4kg |
直販価格(9月18日時点) | 15万5440円 |
PCMark05 | 11356 |
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3DMark06 | 12971 |
CINEBENCH R10 Rendering(Single CPU) | 3726 |
CINEBENCH R10 Rendering(Multiple CPU) | 14633 |
Webサイトの閲覧やメールソフトを使う程度ではオーバースペックであり、3Dゲームやハイビジョン動画の編集、デジカメで撮影した大量のRAWデータの現像といった負荷の高い作業を快適に行うためのPCといえるだろう。
MR6500は見た目は普通のビジネス向けPCながら、性能はハイエンドPCといえる製品だ。今回のテスト機の構成は約15万円で決して安価とは言えないが、CPUがCore i7-750、メモリーがDDR3-1333 1GB、HDDが250GB、グラフィックスがGeForce 9500 GT 512MBという基本構成なら8万8200円で購入できる。性能を求めるユーザーから、日常の作業を快適に行いたいユーザーまで幅広くお薦めできる製品だ。
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