「メモリー3GB」の壁を突破できる
10月22日の「Windows 7」発売まで残り2カ月を切った。このWindows 7からはパッケージにインストールDVDが2枚入る(図1)。1枚は従来の「32ビット版」で、もう1枚は「64ビット版」のディスクだ。
64ビット版のOSは、内部の演算処理を64ビット単位で実行するのが特徴。一度に扱えるデータ量が従来の40億倍以上(正確には2の32乗倍)になる。これによる最大のメリットは、大容量のメモリーを扱えること。32ビット版では、利用できるメモリーが約3ギガバイトまでだったが、64ビット版は理論上16エクサバイト(1600万テラバイト)まで使える(図2)。多くのメモリーを積めれば、高画質な写真や映像の編集作業でも重くならない。
最近はメモリーの価格が下がっているため、今後は大容量のメモリーを搭載した64ビットOSのパソコンが増えそうだ。特に直販メーカーでは「Windows 7の発売に合わせて、64ビット版のパソコンを増やす」(日本ヒューレット・パッカード)ところが多い。
ただし、問題点もある。従来の32ビットOS用に作られたソフトや周辺機器の一部が、64ビットのOS上では動作しないのだ。例えば、ソースネクストのWindows 7対応情報によれば[注2]、同社の検証済みソフトのうち、11パーセントが64ビット版では動作しない。64ビットOSのパソコンを買うときは、事前にメーカーのウェブサイトなどで自分が持っているソフトや周辺機器の対応状況を確認しておこう(図3)。
どうしても不安な人は「セレクタブルOS」のパソコンを選ぶとよい(図4)。これは、64ビット版と32ビット版の両OSがプリインストールされており、初めて起動するときに選べるようにしたもの。最初に64ビット版を選んでも、後からリカバリーして32ビットOSに戻せる。東芝は、既にVistaのパソコンでこの方式を採用しているが、Windows 7でも継続していく予定だという。
[注1] ただし、ホーム・ベーシックでは8GB、ホーム・プレミアムでは16GBの制限がある
[注2] ソースネクストのサポートサイトによれば、32ビット版のWindows 7に対応するソフトは104本。そのうち93本が64ビット版でも動作する