Microsoftは、Windows Vistaで「Windows エクスペリエンス インデックス」という指標を導入した。PCを構成する主要なパーツで特定の処理を実行して値を付ける仕組みで、Windows Vista上で簡単に測定できる。Windows 7もこの仕組みを引き継いでいるが、値の最大値や測定の仕方が変わったようだ。そこで、CPUやストレージ、メモリーの構成、グラフィックスボードなどを交換して、Windows 7 RC(Release Candidate)版のWindows エクスペリエンス インデックスがどう変わるかを調べた。

 Windows VistaのWindows エクスペリエンス インデックスは、「コンポーネント」として「プロセッサ」「メモリ(RAM)」「グラフィックス」「ゲーム用グラフィックス」「プライマリハードディスク」を挙げ、それぞれ特定の測定方法で「サブスコア」を算出。一番低いサブスコアを「基本スコア」にしていた。スコアの最大値は5.9だ。

 この値についてMicrosoftは、厳密なベンチマークとしての指標ではなく、ハードウエアの特徴を表すものと位置付けている。実際、メモリ(RAM)のサブスコアはDDR2-533やDDR2-800といった速度ではなく容量で変化したし、グラフィックス関係のスコアもミドルクラスのグラフィックスチップを搭載したPCでは早々に5.9に達してしまっていた。

Windows VistaでのWindows エクスペリエンス インデックス。スコアの最大値は5.9だった。
Windows VistaでのWindows エクスペリエンス インデックス。スコアの最大値は5.9だった。
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 MicrosoftはWindows 7 RCに実装したWindows エクスペリエンス インデックスでもこの基本方針を崩していない。コンポーネントとして挙げているのはWindows Vistaと同じ5種類だ。ただ、スコアの最大値を7.9にまで引き上げた。これはSSD(Solid State Drive)やマルチコアCPU、高性能グラフィックスチップといった、従来よりも高い性能を持つデバイスに対応するためだ。値の決め方もWindows Vistaから変更しており、同じ構成のPCでもWindows Vistaで得られた値より下がることがあるという。

Windows 7 RCでのエクスペリエンス インデックス。見た目はWindows Vistaとほとんど同じ。最大値が7.9になった。
Windows 7 RCでのエクスペリエンス インデックス。見た目はWindows Vistaとほとんど同じ。最大値が7.9になった。
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 では、パーツを変えるとインデックスの値がどう変わるのか。今回は以下のパーツ構成を標準にして、CPUやメモリー構成、起動ドライブ、グラフィックスボードを取り替えて測定した。

  • CPU:Core 2 Duo E8400(デュアルコア、3GHz)
  • マザーボード:GA-G33M-DS2R(GIGABYTE TECHNOLOGY、Intel G33チップセット搭載)
  • メモリー:DDR2-800 1GB×2
  • 起動ドライブ:WD Caviar Green 500GB(Western Digital、WD5000AACS)
  • グラフィックス:チップセットの内蔵機能

 ただし、Windows 7 RCは製品版ではないため計測に誤りを含む可能性がある。すべてのスコアの算出方法が製品版で変わる可能性ももちろんある。あくまでも現時点での参考値と考えてほしい。

 パーツは、2008年前半にPCを自作したと想定して選んだ。Core 2 Duo E8400はパーツショップで売れ筋のデュアルコアCPU。現時点では、より演算性能の高いクアッドコアCPUが2万円以下でも買えるので、特別に性能が高いというわけではない。マザーボードはグラフィックス機能を内蔵したIntel G33搭載の製品。最新のCore 2シリーズも動作するので、グラフィックスボードの複数枚挿しなどの性能重視のパーツ構成にするのでなければ、十分に現役として使える。

 メモリーはDDR2-800の1GBモジュールを2枚にした。2009年6月時点では2GB×2枚でも十分に安いので少なく感じられるかもしれないが、1年ほど前の現役PCと考えるなら現実的な容量だろう。起動ドライブは、省電力タイプのHDDだ。5400回転/分と、自作PCで主流の7200回転/分に比べてやや遅い。最低ラインを確認するために、グラフィックスボードは搭載せずにチップセット内蔵機能を使った。

 この標準構成でのWindows エクスペリエンス インデックスが以下の画面だ。プロセッサは6.4、メモリは5.5、グラフィックスは3.7、ゲーム用グラフィックスが3.4、プライマリハードディスクは5.8となっている。CPUが軽々と5.9を超えて6.4を示しているほか、メモリやプライマリハードディスクもスコアの半分よりは上になった。一方、グラフィックスは予想通り低めで、全体の足を引っ張っている印象がある。

標準構成でのWindows エクスペリエンス インデックス。「プロセッサ」が6.4を超える一方、チップセット内蔵グラフィックスでは「ゲーム用グラフィックス」が3.4と低めだ。
標準構成でのWindows エクスペリエンス インデックス。「プロセッサ」が6.4を超える一方、チップセット内蔵グラフィックスでは「ゲーム用グラフィックス」が3.4と低めだ。
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