台湾Cooler Masterは、多様化するユーザーニーズに対応するため、パソコンケースやCPUクーラーのラインアップを強化する。パワーユーザーやゲームユーザー向けの新ブランド「CM Storm」も本格展開し、PCケース以外のジャンルにも積極参入する。
まずは、ミドルタワーケースのヒットモデル「CM 690」よりも一回りコンパクトなきょう体(幅202×奥行き485×高さ440mm)で、さらに使いやすく、ケース内の配線も容易にした「Gradiator 600」を発売する。
この製品は冷却装備が特徴。電源ユニットを底面に配置するタイプで、フロントに12cmファン(14cmファンも搭載可能)、ケース上面に14cmファンを装備。オプション品を使えば背面に12cmファン、サイドパネルに14cmファン×2も搭載できる。
マザーボードのベースでは、CPUソケット周辺に大きなスルーホールを設け、マザーボードを外さなくても大型CPUクーラーを交換できるようにした。ベースのボードには、ケース背面側で電源ケーブルやSerial ATAケーブルなどをまとめやすいよう、フックを装備している。
電源ユニット部分の通気口にはフィルターを設置可能で、電源ファンは内側、外側のどちらにも搭載できる。フロントI/Oパネルには、USB×2とオーディオ端子に加えeSATAポートも備えるほか、フロントファンのブルーLEDスイッチもある。ドライブベイは5.25インチ×5、3.5インチ×6で、付属の防振ラバー付きガイドレールを使えば道具なしでHDDを搭載できる。
一般市場向け製品を担当するティファニー・ロー氏は、「ターゲットごとにコストパフォーマンスの高い製品を用意して、市場拡大を図る」とし、今後はさらに高性能なPCケースも投入するという。
新ブランドのCM StormにもGradiator 600と基本構造を共用するエントリーモデル「CM Storm Scout」を発売する。この製品は、ABS樹脂で成形したケース上面に取っ手を付けたユニークなデザインが特徴。ケース内部も黒く塗装してあり、硬派なイメージを打ち出している。
フロントとトップには14cmファンを、背面には12cm赤色LEDファンを搭載する。サイドパネルにはアクリル製のウィンドウがあり、12cmファンを2基搭載可能。LANパーティなどシステムを外に持ち出すことも想定し、マウスやキーボードなどのケーブルを拡張ブラケット部分にからめて盗難から防ぐ「StormGuard」を実装する。CM Stormブランドでは、ケース以外の製品も展開し、まずはゲーム用マウスパッド3種類を発売する。
CPUクーラー製品では、コンパクトだが高い冷却性能を実現する「Hyper TX3」を第2四半期中に発売する。ヒートパイプやアルミフィンの効率を最適化して小型化した92mmファン搭載のCPUクーラーだ。対応CPUはLGA775とSocket AM2/2+/3だけでなく、Intelが第3四半期に投入を計画中のLGA1156もサポートする。既に「Hyper N520」というコンパクトかつ高性能なLGA1366対応CPUクーラーを販売しており、そのコンセプトをさらに突き詰めて、冷却性能と小型化を両立させたという。
CPUクーラー製品の最上位モデルとして、10本のヒートパイプとペルチェ素子を組み合わせた大型クーラー「V10」もある。CPUの熱を素早く取り除くため、4本のヒートパイプに70W(実効冷却性能35W)のペルチェ素子を当て、200W超のTDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)動作にも対応できるようにした。大型のアルミフィンには2基の12cmファンを搭載、CPUだけでなくメモリーなどの周辺部分も冷却する。今後、「CPUクーラのラインアップも増やし、競争力を高める」(ロー氏)という。