台湾Micro-Star International(MSI)は、Intel X58チップセット搭載マザーボードのラインアップを拡充し、多様化するユーザーニーズに対応する。

 4月中にIntel X58搭載マザーボードのフラッグシップモデルとして、NVIDIAのSLI拡張チップ「nForce 200」を搭載した「Eclipse Plus」を販売開始する。nForce 200は、PCI Express 2.0 x16インターフェースを同x16×2に増幅する役割を担い、PCI Express 2.0 x16×3による3way SLIを実現する。なお、PCI Express x16スロットを4本とも使用する場合は、PCI Express x16×2、同x8×2という構成になる。MSIはnForce 200を搭載した製品を“ハードウエア3way SLI”対応と呼び、より優れたグラフィックス性能を追求するゲームユーザーやパワーユーザー向け製品としてアピールする。

MSIのIntel X58搭載マザーボードのフラッグシップモデルとなる「Eclipse Plus」。nForce 200を採用したハードウエア3way SLI対応が最大の特徴だ
MSIのIntel X58搭載マザーボードのフラッグシップモデルとなる「Eclipse Plus」。nForce 200を採用したハードウエア3way SLI対応が最大の特徴だ
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 マザーボードの製品企画を担当するジョセフ・シー氏(プロダクトマネージャー、プロダクトマーケティングセクション、マーケティングデパートメント)は、「nForce 200の採用で、3way SLIのパフォーマンスは最大30%向上させられる」としている。この製品には、ゲームユーザーやパワーユーザー向け機能として、ボタンひとつでオーバークロック設定に切り替えられる「OCスイッチ」や、オンボードのダイヤルでCPUのベースクロックを調整できる「OCダイヤル」などを搭載する。

マザーボードの製品企画を担当するジョセフ・シー氏(Joseph Shih, Product Manager,Product Marketing Sect., Marketing Department)
マザーボードの製品企画を担当するジョセフ・シー氏(Joseph Shih, Product Manager,Product Marketing Sect., Marketing Department)
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 その一方で、PWM(Pulse Width Modulation)回路の高効率化を実現する「DrMOS」を進化させることにより、CPU周りの電力変換効率を最大95%に高められるようにしたほか、ボタンひとつで省電力モードに切り替えられるようにしている。ハードウエアの状況をLED表示する「D-LED 2」も搭載。極限までパフォーマンスを追求したときなど、どの部分にエラーが発生したかを確認できる。

 シー氏はまた、「Eclipse Plusは、NVIDIAのCUDAなど、並列コンピューティングプラットフォームとしても優れた性能を発揮する」と、ゲーム市場以外での展開も狙う。既に高品位の動画エンコードや画像編集など、身近なところでもグラフィックスチップを使ったアプリケーションが登場しているが、より専門的な科学演算用途でもグラフィックスチップを使った並列コンピューティングは注目されつつある。Eclipse Plusはこの環境を強力にサポートするプラットフォームとしても期待できそうだ。

 Intel X58チップセット搭載マザーボードのエントリーモデルとして、microATXタイプの「MS-7593」も開発中だ。こちらも、PCI Express x16スロットを2本装備し、マルチグラフィックス環境に対応する。市販製品では、製品名や仕様を変更する予定だが、Core i7環境に移行しやすい価格設定になる模様だ。

開発中のIntel X58搭載microATXマザーボード「MS-7593」。市販モデルはヒートシンクやパーツ構成を変更する予定だ
開発中のIntel X58搭載microATXマザーボード「MS-7593」。市販モデルはヒートシンクやパーツ構成を変更する予定だ
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AMDプラットフォームでも、マルチグラフィックス対応を推進する。写真はAMD 790FXを採用したSocket AM3マザーボード「790FX-GD70」
AMDプラットフォームでも、マルチグラフィックス対応を推進する。写真はAMD 790FXを採用したSocket AM3マザーボード「790FX-GD70」
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