超低価格パソコンのプラットフォームであるAtomプロセッサーは、価格の安さだけでなく、優れた静音ソリューションとしてパソコン自作の世界でも注目されている。Atomを搭載したminiITXマザーボードの種類も増えており、パソコンケースの大手ベンダーはminiITXマザーボード対応ケースのラインアップ拡充を急いでいる。

 台湾Cooler Masterは、チップセットやCPUの冷却にヒートパイプを利用したminiITX対応ケースを開発、販売を開始する。

 miniITX対応ケースでは、CPUやチップセットクーラーにヒートパイプを通し、その熱をケースに伝えることで完全ファンレス化を実現した。パソコンケースなどの製品開発を担当するダニー・チェン氏(Danny Chen、Manager/Chassis L.O.B/CAs Business Unit, Retail Product Business Unit)は、「Atomプロセッサー搭載システムの利点である静音性を追求した結果」と言う。

Cooler Masterが開発中のファンレスminiITXパソコンケース(エンジニアリングサンプルを撮影)

パソコン自作市場向けのパソコンケースなどの開発を担当するダニー・チェン氏(Danny Chen、Manager/Chassis L.O.B/CAs Business Unit, Retail Product Business Unit)

 ケースの素材には、価格を抑えるために亜鉛メッキ鋼板を採用。ケース側面にはアルミ製ヒートシンク装備してヒートパイプの熱をケース側面に逃すデザインにした。ケース内部の熱を効率よく外部に逃がすためだ。

 ただし、ファンレスで利用できるのはケース内の熱設計消費電力(Thermal Design Power)が40W以下の場合に限られる。もちろん、デュアルコア版Atom搭載プラットフォームでもファンレス化を実現できるほか、ノートパソコン用CPUを採用したminiITXマザーボードでもCPUやチップセットの組み合わせによってはファンレス化が可能だ。それ以上の熱設計消費電力のシステムは、チップセットやCPUにファンを使って冷却性能を高める必要がある。

 ケースのサイズは、幅260×奥行き239.35×高さ80.3mm。スリムタイプの光学ドライブと2.5インチのハードディスクドライブを搭載できる。拡張スロットは高さを約80mmに抑えたためロープロファイルのPCIボードでも非サポートとなる。

CPUやチップセットの冷却にヒートパイプを使い、Atom搭載miniITXマザーボードと組み合わせてファンレス化を実現

ケース側面をヒートシンク形状にすることで、ケース内部の熱をヒートパイプを介して効率よく外部に放出する

ファンレスminiITXパソコンケースのI/Oパネル部。今のところ拡張ボードには対応していない