台湾Elitegroup Computer Systems (ECS)は、省スペース性と静音性を追求した超低価格デスクトップパソコンを開発。相手先ブランド製品として、日本でも展開を図るという。

 ECSの超低価格デスクトップパソコンに対するアプローチは競合他社と異なり、システムレベルで製品を開発することにより、徹底した省スペース化と静音化を図ろうとしている。

独自マザーボード採用、拡張性も高める

 ECSが開発した3リットル容量の超低価格デスクトップパソコン「945GCD-3L」は、競合製品と異なり、miniITXマザーボードではなく、拡張性を高めた独自のマザーボードを採用している。

ECSが開発したAtom搭載省スペースデスクトップパソコン「945GCD-3L」。当面は、相手先ブランド製品としての展開を図る

 デスクトップ製品の開発を担当するダリル・チャン氏(Darryl Chan、Senior Manager, Business Development Department, R&D Center)は、「miniITXマザーボードの方が廉価だがレイアウトに制約があるため省スペース化に向かない」と言う。

Atom搭載省スペースデスクトップパソコンの開発を担当するダリル・チャン氏

 270(幅)×200(奥行き)×60(高)mmサイズの省スペースデスクトップケースの底面いっぱいを有効に使ったマザーボードは、デスクトップ向けCPUのAtom 230とIntel 945GCチップセットを採用しながら、メモリースロットにはノートパソコンで一般的なSO-DIMMスロットを搭載している。スペースの制約からPCIスロットなどの拡張スロットは備えていないが、「基板の表裏に各1スロットのminiカードスロットを装備して拡張性を高めた」(チャン氏)と言う。

 さらに、発熱量が大きい部品を分散配置することで、コンパクトなきょう体ながら直径50mmのファン1基を中・低速で回転させるだけで十分な放熱性を確保している。

 光学ドライブはノートパソコン用のスリムドライブを搭載するものの、ハードディスクドライブは3.5インチタイプを採用。大容量ハードディスクと組み合わせて、テレビ番組のデジタル録画を楽しんだり、家族でデータを共有したり、バックアップデータを保存するといったホームサーバーとしても活用できる。

270(幅)×200(奥行き)mmのケースサイズを有効に活用、放熱性にも配慮した専用マザーボードデザインを採用

ケース内の空気の流れを妨げないよう、メモリースロットにはノートパソコンなどで採用されているSO-DIMMスロットを搭載する

フロントパネルにはオーディオ入出力やUSB端子が装備されるほか、オプションでSDメモリーやメモリースティックなどに対応したメモリカードリーダーも搭載可能だ

基板背面にもminiカードスロットを実装、ワイヤレスLANカードなどを使って機能を拡張ができる

電源には65WのACアダプターを採用。システムファンは背面の50mmファン1つだけだ。I/Oパネルにシリアルインターフェースがあるのは産業用途も視野に入れているから

 デスクトップ関連製品などのマーケティングを担当するアレックス・ウー氏(Alex Wu、Senior Specialist, Marketing Division, Channel Business Division, Mainboard, Addo-on card and System Products Business Unit)は、「3.5インチのハードディスクドライブ搭載にこだわったのは、リビングルームに置いてメディアサーバーとして使うことを想定したから」と説明する。これも低消費電力のAtomプラットフォームを採用するからこそできる発想だ。

マザーボードやシステム製品のマーケティングを担当する、アレックス・ウー氏

3.5インチのSATAハードディスクドライブを簡単に着脱できるベイ。ケース側面には空気穴があり、放熱にも配慮している