「Eee PC」で超低価格パソコンの市場を築き上げた台湾ASUSTeK Computer(以下、ASUS)は、Eeeシリーズのラインアップ拡充とソフトウエアの充実で、迫り来るライバルたちに対抗する。

 ASUSでEee PCの製品企画およびマーケティングを指揮するスティーブ・パイ氏(Steve Pai、Duputy Director, Channel Product Planning & Management Dept.1 - Sec.1 Product Planning & Management Div.)は、超低価格パソコン市場における同社の強みを「この市場における経験の長さと、ユーザーコミュニティの存在」と表現する。

Eee PCの製品企画やマーケティングを統括するSteve Pai氏

既に2度のモデルチェンジを実施

 ASUSは、Eee PCの開発を今から3年以上前にスタートさせ、2007年10月にCeleronを搭載した初代Eee PCを出荷開始している。つまり、競合他社に比べ9カ月ほど先行していたことになる。この9カ月の経験が、貴重な“資産”となっていると言うのだ。

 初代Eee PCの発売以降、ASUSは2度のモデルチェンジを実施している。モデルチェンジのたびにユーザーの声を集めて製品に反映。ディスプレイサイズを拡張したり、ハードディスクドライブ搭載モデルを用意してラインアップを増やしてきた。

 従来モデルの利用状況を分析することで、ハードウエアのどの部分に負荷が集中するかといったデータも集めてきた。パイ氏は、わずか1年足らずの間に製品ラインアップを大幅強化した背景を「27カ国向けのLinux/WindowsXP搭載モデルを用意しており、各国の異なる需要に応えたため」と説明する。

ASUSは、パソコンとしての使いやすさを向上すべく、ユーザーの声を反映したラインアップの拡充を進めている

 しかし、そのコンセプトは明確だ。「ノートパソコンにフル機能を求めるのは30%足らずのユーザーだけ。それ以外のユーザーは日常の使い勝手を優先する。そこで、エントリーのノートパソコンとなるEee PCは、パソコンとしての使いやすさを最優先して機能を拡張した」(パイ氏)。Eee PCは、初代製品出荷から1年足らずのうちに、ユーザーとともに進化を繰り返してきたというわけだ。

 超低価格パソコンというジャンルを作り出したEee PCには、サードパーティー(ASUS以外の周辺機器メーカー)から機能拡張用ハードウエアやアクセサリー製品が続々登場している。パイ氏は、この状況を歓迎しながら、「ASUSが検証していない追加ハードウエアを使うことで本体が故障する可能性もゼロではない」と、これらの製品を使う場合にはユーザー自身の注意も必要だと主張する。Eee PCは、価格やコンパクトさを追求したため、一般的なパソコンと比べて熱設計などに十分な余裕がない場合があるためだ。