台湾ASUSTeK Computerの「Eee PC」がきっかけとなって成長した超低価格パソコン市場は、米IntelのAtomプロセッサー投入を受けて、急速に拡大している。現在では、台湾Acerの「Aspire one」や台湾MSI(Micro-Star International)の「Wind Netbook」など、Eee PCのライバル製品も続々登場し、店頭を賑わせている。
そこでPC Onlineでは、超低価格パソコン製品を展開する台湾メーカー各社の本社にて、製品開発の背景やマーケティング戦略を取材した。
まずは、超低価格パソコンの特徴と、現在これらの製品を取り巻く環境をまとめた。以降、各社の取り組みをそれぞれレポートする。
パソコンであって、パソコンでない?
超低価格パソコンとして人気を集めている「Eee PC」や「Aspire one」は、実は“パソコンであってパソコンではない”と言うと驚くだろうか。
現在、超低価格パソコンとして店頭に出回っているのは、Intelが「Netbook(ネットブック)」「Nettop(ネットトップ)」と呼ぶ、Atomプロセッサーを搭載した製品だ。Intelはこれらの製品を、インターネット接続を主体とした“端末(デバイス)”として、パソコンと高機能携帯電話との間を埋めるソリューションとして位置付けている。
このため、超低価格パソコンのスペックには一定の枠組みがあり、ノート型なら液晶サイズが10.2インチ以下で光学ドライブを搭載せず、最大メモリー搭載容量は2GBとなっている。搭載可能なCPUはAtom N270(1.6GHz動作)だけなので製品間の機能差はほとんどなく、価格もほぼ横並びだ。
デスクトップ型は、ノート型と同じ1.6GHz動作のAtom 230に加えて、9月末にはデュアルコア版のAtom 330が追加される。
外付けグラフィックスボードはサポートできないものの、高解像度ディスプレイと組み合わせたり、複数のハードディスクドライブを搭載することも可能。拡張性では、エントリークラスのデスクトップパソコン並みの仕様を実現できる。
これまで、デスクトップ型の超低価格パソコンはパフォーマンス面でノート型と差がなかったため、あまり注目されていなかった。しかし、デュアルコア版のAtomが登場することによりパフォーマンスが向上すれば、ノート型では喚起できなかった需要を獲得できる可能性も高い。
さらに、Atomを搭載したマザーボードも種類が増えてきており、低消費電力で静かなパソコンを自作しよう、というニーズを満たせるようになってきている。