パソコンの2013年春モデルが、1月下旬から相次いで登場した。最新型のCPUを搭載し、メモリーやハードディスクの容量を増やすといった、基本性能を強化する動きが目立つ。今回の新製品の変更点は、いずれのメーカーも小規模にとどまる。性能や操作性は高くなってはいるものの、Windows 8の発売に合わせてタッチ操作に対応したパソコンが続々と登場した2012年秋冬モデルと比較すると、大きな変化には感じられないかもしれない。

 しかし、パソコンは着実に進化を続けている。3カ月や半年といった単位で見れば小さな変化に思えても、数年前のパソコンと比較すると、ハードウエア、ソフトウエア両面で大きな違いがある。

 まずは3年前と現在のパソコン市場を比べてみよう(図1)。2009年のパソコン市場で大きな存在感を示していたのは、「ネットブック」だ。米インテルの低消費電力CPU「Atom」を搭載した低価格のノートパソコンだ。広い操作画面や高い性能は望めなかったが、5万円を切る価格の製品もあって利用者が増えた。

●この3年間で激変したノートパソコン市場の勢力図
図1 2009年秋冬モデルと2013年春モデルにおけるノートパソコン製品の勢力図。全体に低価格化、高解像度化が進んだ。ネットブックは市場からほぼ姿を消し、タブレット形状に変形するタイプのノートパソコンが新たに登場している。Ultrabookが勢力を拡大する一方、ユーザーのニーズに合わせてスタンダードノートの多様化が進んだ
図1 2009年秋冬モデルと2013年春モデルにおけるノートパソコン製品の勢力図。全体に低価格化、高解像度化が進んだ。ネットブックは市場からほぼ姿を消し、タブレット形状に変形するタイプのノートパソコンが新たに登場している。Ultrabookが勢力を拡大する一方、ユーザーのニーズに合わせてスタンダードノートの多様化が進んだ
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消えたネットブック

 しかし2013年春時点で、パソコン市場にネットブックの姿は見当たらない。代わりに携帯用途の機器として存在感を示しているのは、タブレットである。Windows 8の登場に合わせて、ノートパソコンの形状にもタブレットの形状にもなる、可変型の携帯ノートが続々と登場した。10~11型の液晶ディスプレイで、1kg前後と手軽に持ち運びできる。

 「Ultrabook」の台頭も見逃せない。Ultrabookは、インテルが提唱する携帯ノートのカテゴリーで、画面サイズや重さ、本体の厚さ、バッテリーによる駆動時間などを細かく規定する。2011年から製品が登場している。

 液晶サイズが15型を超えるスタンダードノートにも、多様化の波が押し寄せている。3年前は性能を重視した設計で、価格は12万~20万円が相場だった。現在は、15型にもUltrabookが登場。17型の液晶ディスプレイを搭載した、ゲームユーザー向けの高価な製品がある一方で、5万円前後の低価格な製品もある。

 デスクトップパソコンは、ディスプレイサイズこそ大きく変わらないものの、低価格化が進んだ。液晶一体型は20万円前後が相場だったが、2013年春モデルでは10万円前後の製品が登場している。

 こうした「勢力図」の変化は、パソコンの変貌ぶりを表している。一見「今の製品と何ら変わりがない」と思える3年前のパソコンであっても、「2013年型」はさまざまな点で進化しているのだ。さらに細かく製品の変化を確認し、2013年型パソコンがどう優れているかを、具体的に見ていこう。