NTTドコモから2011年5月23日に発売された「AQUOS PHONE SH-12C」を使ってみた。3D写真・動画を撮れる800万画素のツインカメラを搭載したハイエンドのスマートフォンだ。

 従来、NTTドコモのシャープ製スマートフォンには「LYNX」というブランド名が使われていた。今夏モデルからは、キャリアに関係なく、シャープ製のすべてのスマートフォンに「AQUOS PHONE」という名称が使われている。
 
 「AQUOS」はシャープ製の液晶テレビ・レコーダーで人気が定着しているブランドで、従来型のワンセグケータイも「AQUOSケータイ」という名称が使われていた。メーカーとして最も強いブランド名で、スマートフォン市場においてもシェアを拡大しておこうという意気込みであろう。

 名称は変わったが、SH-12Cは昨年12月に発売された「LYNX 3D SH-03C」の後継機種ととらえて支障はない。前モデルSH-03Cは、裸眼で3Dが見られる液晶がセールスポイントだった。しかし、3D写真を撮るには、シャッターを押す際にカメラを水平に動かすなどのテクニックを要し、必ずしも鮮明な3D写真が撮れるとは限らなかった。2眼カメラを備えたSH-12Cは、誰もが簡単に3D写真や動画を撮れるように進化しているので、写真を撮る機会が多く、その楽しみを広げたいという人にはオススメの端末だ。

 今夏、シャープはNTTドコモだけでなくau(KDDI)、ソフトバンクモバイルからも3D対応のスマートフォンを発売する。それぞれキャリア向けのカスタマイズが施されており、デザインは若干異なるが、ハードウェアのスペックや操作性などに共通する部分は多い。au(KDDI)やソフトバンクモバイルのユーザーで、シャープ製の新モデルが気になっている人も、このコラムを参考にしていただけたら幸いだ。

約4.2型(540×960ドット)のディスプレイを搭載したフルタッチのスマートフォン
約4.2型(540×960ドット)のディスプレイを搭載したフルタッチのスマートフォン
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背面には2つのカメラが搭載されている
背面には2つのカメラが搭載されている
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セールスポイントは3Dだが、操作性や処理速度も文句なし!

 3Dを前面に押し出しているので、それを必要としない人には「魅力薄」と思われそうなSH-12Cだが、実は「ところがどっこい」というのが筆者の率直な感想だ。

 SH-12CのOSはAndroid 2.3だ。その恩恵なのか、メーカーの開発努力のたまものなのかは定かではないが、SH-12Cはとても軽快に操作できる。前モデルSH-03Cを含め、Android 2.2以前のシャープ製スマートフォンは、機能面では不満は感じないものの、タッチレスポンスは若干鈍いこともあり、次から次へと使いたいアプリを立ち上げると動作がもたつくこともあった。SH-12Cは「写真を撮ってTwitterに投稿する」「Web閲覧中に他のアプリを起動する」といった連係操作を行っても、実にサクサクと動くのだ。それを言葉で表現するのは難しいが、従来は画面の切り替え時などに、わずかに「待たされる」印象があったのだが、それが解消されている。処理速度が向上しているということであろう。

 3D機能を使わず、Webやアプリをメインに使う人でも十分に満足できる操作感で、逆に3Dは「豪華なオマケ」ととらえた方が妥当な気がする。