電子書籍として出版される本が急速に増えつつある。ここ数カ月、発行点数はうなぎ登りで、年末にかけてさらに充実する勢いだ(図1)。
確かに、膨大な紙の本に比べればまだ電子書籍の出版点数は少ない。しかし、過去の名作に加え最近では「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)のように新刊、話題作が早々に電子書籍化されるケースも目立っている。コミックや雑誌も合わせると、既に小型書店並みの品ぞろえを楽しめる時代になっているのだ。電子書籍の提供形式も以前のパソコン、携帯向けだけでなく、iPad/iPhone向けが急激に増えている。
文芸書や実用書など、活字中心の出版物に強い電子書店「電子文庫パブリ」では、発行済みの文庫本を中心に、約1万5000冊をパソコン向け、約8500冊をiPhone向けに販売する(図2)。この中には浅田次郎「蒼穹の昴」(講談社)、伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」(新潮社)など、ベストセラー作品も多い。
書籍電子化でリードするのが講談社。10月に都内で開かれたフォーラムで、「年内に約2万タイトルを電子書籍にする」(野間省伸副社長)方針を明らかにした(図3)。これは、市場に流通する同社全書籍に相当する規模だ。また小学館は、11月に電子書店を開設する計画。新刊・旧刊ベストセラーを中心に約200点から販売をスタートするという。