概要

 今回紹介するのは、ビズソフトの「ツカエル青色申告2010 3ヶ月版」(以下、ツカエル青色申告)だ。他のメーカーや申告ソフトにない特徴として、自社サイトでダウンロード版が販売されている点や、使用期間を限定することで通常版とほぼ同じ機能が低価格で提供されている点が挙げられる。

 青色申告のメリットを受けるための確定申告期限まで、いよいよ1カ月となった。該当する人は一刻も早くソフトを入手して、作業を始めたいはず。ツカエル青色申告は、そんな人に特に便利だ。今回も、導入から決算書作成まで、ツカエル青色申告での操作手順をざっと説明する。最新の書式に基づいて決算書や確定申告書を作成する方法は、他のソフトとともに次回まとめて紹介する。

ずばり! こんなユーザー向け
  • 今すぐソフトを入手して、確定申告をしたい人
  • 価格が安い製品を選びたい人
  • パッケージ製品よりもダウンロードソフトの方が手軽でよいと考えている人
  • 税理士などに依頼せず自分で確定申告をする、個人事業主などの小規模事業者
  • 会計や経理の知識がなくても利用できる製品を探している人
  • 事業拡大を考えており、上位製品への移行も想定しておきたい人

動作環境

●OS
Windows 7 Starter/Home Premium/Professional/Enterprise/Ultimate(32/64ビット版)
Windows Vista Home Basic/Home Premium/Business/Enterprise/Ultimate(32ビット版、Service Pack 2まで対応)
Windows XP Home Edition/Professional(32ビット版、Service Pack 3まで対応)

●インターネット
インターネット接続環境と、WebブラウザーとしてInternet Explorer 6.0以降が必須

●CPU
1GHz以上を推奨

●メモリー
Windows 7 1GB以上
Windows Vista 512MB以上(1GB以上を推奨)
Windows XP 256MB以上(512MB以上を推奨)

●ハードディスク
100MB以上の空き容量が必要。データ領域は別途必要

価格

ダウンロード版 3360円(税込)

「申告ソフトは箱モノ」の常識を破る、ネット活用型

 楽曲やケータイコンテンツを筆頭に、ネット経由でソフトウエアをダウンロードする文化は、今やかなり浸透したと言ってよい。しかし、申告ソフトをはじめとする「業務ソフト」のジャンルでは、いわゆる箱モノ、つまりパッケージ製品がまだまだ主流だ。

 第2回~第4回に紹介した各メーカーの場合も、体験版のソフトはダウンロードできるが、正規版はたとえネットショップで販売していてもパッケージというスタイルが基本。カンペキに仕事のために使うソフトである点や、経理データという極めて重要な情報を扱う点などが背景にあり、「箱」に信頼感を求めるユーザーが圧倒的に多いのかもしれない。

 しかし、少し考えれば分かるように、重要なのはソフトを使って作った「経理データ」の方であって、ソフトそのものではない。機能がまったく同じなら、「箱などがない分、価格が安く、ダウンロードによって手軽に入手できる製品がいい」との価値観があってもよいはずだ。また、「箱」に信頼感を求めるユーザーも、ビズソフトという会社が「勘定奉行」で知られる業務ソフトメーカーのオービックビジネスコンサルタント(OBC)のグループの一員であると分かれば、安心できるのではないだろうか。

 前置きが長くなった。今回取り上げるツカエル青色申告には、パッケージ製品とダウンロード製品の2種類がある。また、それぞれについて、通常版と使用期間を限定した「3ヶ月版」がある。両者を組み合わせたとき、最も安価なのが「3ヶ月版」のダウンロード製品である。逆に最も高価なのは、通常版のパッケージ製品だ(「ツカエル青色申告2010+確定申告」のメーカー希望小売価格は税込9990円)。

 ツカエル青色申告「3ヶ月版」は、その名の通り、ダウンロードしてパソコンに組み込んだ後、通常版とほぼ同じ機能を3カ月後の月末まで使える製品だ。「ほぼ同じ」とは例外があるため。通常版では追加代金の支払いによって「部門管理」「集計表」「予算管理」のオプション機能を利用できるようになるのに対し、「3ヶ月版」ではオプションを追加できない。

 ビズソフトでは、そうしたオプション機能は、すべてネット経由で提供している。携帯電話に好きなコンテンツを追加して自分好みのツールに育てるように、ソフトに必要な機能を追加する仕組みは面白く、画期的かつ合理的と言えるだろう。確定申告の期限まで1カ月ほどとなった今年は「3ヶ月版」を購入して使い勝手を試し、来年からは通常版でオプション機能も利用する、といった使い方も悪くない。