税務申告のキホン

 日本の所得税は「申告納税制度」であることをご存じだろうか。平たく言うと、仕事に就いてお金を稼いでいる人は、「誰でも」「全員」、税法に従って自分の所得金額と税額を正しく計算し、自ら申告・納税しなければならないのが原則だ。

 会社を経営している人や、個人で仕事をしている人(個人事業主)なら、毎年決まった時期に「確定申告」が必要なことはご存じだろう。恒例とはいえ、1年分の収支をまとめて決算書や確定申告書を作成するのは、なかなか大変な作業のはずだ。

 一方、給与所得者、いわゆるサラリーマンの場合は、確定申告にあまりなじみがないだろう。というのは、毎月支払われる給料やボーナスから、所得税や健康保険料、年金保険料などを「天引き」する、「源泉徴収制度」が存在するからだ。給料を支払うときに、会社が適切な金額を計算して差し引いた分を預かり、給与所得者本人に代わって税務署に納めてくれているのだ。会社が代行して申告・納税した分は、「年末調整」の際、本人が1年分をまとめて確認する。このとき、必要に応じて修正や追加の申告が可能だ。つまり、本人は無意識かもしれないが、給与所得者も「自ら申告・納税」しているわけだ。

 とはいえ、給与所得者にとって、年末調整は申告の「最後のチャンス」ではない。各人の事情に合わせて「確定申告」をすることで、天引きされた所得税が還付される場合がある。また、確定申告は「個人の自由」とも限らない。給与所得者であっても、確定申告をしなければならない場合があるからだ。