8スレッド動作やメモリーコントローラー内蔵といった、新機能を搭載したCore i7は、5年前のPentium 4と比べてどのくらい性能が高くなったのだろうか。IntelとAMDのどちらも、動作周波数やキャッシュ容量だけではなく、設計が異なる製品を展開しているため、性能差が分かりにくい。AMDの最新モデル、Phenom II X4 955 Black Editionも交えて比較した。

 テストの結果の前に、各CPUのアーキテクチャーの違いを確認しておこう。Intelの最新CPUであるCore i7は、Core 2シリーズの「Coreマイクロアーキテクチャー」(以下Core MA)をベースにした演算部分を4個搭載する。Core 2シリーズと大きく異なるのは、CPUコアと同じダイ(半導体本体)にトリプルチャンネルDDR3に対応したメモリーコントローラーを統合した点、4コアで共有する8MBの3次キャッシュを搭載する点だ。疑似マルチコア技術の「Hyper-Threading」の搭載により、8スレッド(スレッドはプログラムの実行単位の1つ)を同時に処理できるほか、CPUの消費電力や負荷に応じて自動でコアの動作周波数を上げる「Turbo Boost」も搭載する。

 従来のCore 2シリーズが採用したCore MAは、ノートPC向けCPUで使っていた設計を改良したものだ。Core MAは効率を重視。Pentium 4よりも低い周波数で同等以上の性能を出すうえ、消費電力を低くできた。

 AMDの現在のCPUは、1999年のAthlon(開発コード名はK7)のアーキテクチャーをベースにしている。2003年にメモリーコントローラーをCPUに統合したAthlon 64(同K8)、2005年にはデュアルコアのAthlon 64 X2(現在のAthlon X2)を発売した。2007年末にAMDが発売したPhenomは、K8コアを改良。クアッドコアを基本にして、共有の3次キャッシュを搭載した。2009年1月には製造プロセスを45nmに縮小したPhenom IIを発売した。Phenom IIの初期版はDDR2のみ対応のAM2+パッケージだったが、2月にDDR3とDDR2の両方に対応したAM3パッケージを発売した。

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