パソコンなどの情報機器で扱える漢字を定めた文字コードとしては、JIS漢字のほかに、補助漢字*1と拡張漢字がある。どちらもオリジナルのJIS漢字の不足を補うために制定されたJIS規格で、補助漢字はWindows98に標準添付された「MS明朝」「MSゴシック」やMS-IMEが対応して以来、WordやExcel、一太郎などの様々なアプリケーションで利用できる状態となっている。また、拡張漢字の方もWindows Vistaに標準添付された「MS明朝」「MSゴシック」やMS-IMEが対応したことによって、今後、徐々に利用が進んでいくものと見られている。

*1 1990年にJIS漢字の不足を補うために、JIS X 0212-1990として制定された文字コードで、規定されている文字数はJIS漢字と重複しない漢字や各種記号やラテン系言語のアルファベットなどを含む計6,067字で、その内の漢字は5,801字。

 そこで、今回と次回の2回に分けて、漢和辞典における補助漢字や拡張漢字への対応がどうなっているのか、調べてみよう。

補助漢字への対応は消極的

 前回、漢和辞典におけるJIS漢字への対応度合いをチェックするため、わたしの手元にある漢和辞典の中から割と一般向けと思われる2~3千円前後の辞典をピックアップして、親字として掲載されている漢字の数、JIS漢字をすべて掲載しているかどうか、区点番号などのJISコードを掲載しているかどうかを調べてみた。

 補助漢字は1990年に制定された規格なので、JIS漢字の際に取り上げた漢和辞典の中で1990年以降に発行された辞典を対象に、補助漢字をすべて掲載しているかどうか、区点番号などを掲載しているかどうかをチェックしてみたのが以下の表だ。

【漢和辞典の「補助漢字」対応度をチェック】
辞典名 補助漢字 コード記載 発行年
福武漢和辞典 × 区点 1990年
新明解漢和辞典 第4版 × × 1990年
角川新字源 改訂版 × × 1994年
角川最新漢和辞典 改訂新版 × × 1995年
大修館現代漢和辞典 × × 1996年
角川必携漢和辞典 × × 1996年
五十音引き漢和辞典(講談社) 区点 1997年
岩波新漢語辞典 第二版 × × 2000年
現代漢語例解辞典 第2版 × 区点 2000年
角川現代漢字語辞典 × × 2001年
大修館漢語新辞典 × × 2001年
全訳用例漢和辞典 ビジュアル版 × × 2003年
三省堂五十音引き漢和辞典 × × 2004年
新漢語林 区点 2004年
新選漢和辞典 第七版・人名用漢字対応版 × × 2005年
全訳漢辞海 第二版 × × 2006年
常用漢和辞典 改訂第三版 × × 2006年
旺文社漢字典 第二版 × × 2006年
漢字源 改訂第四版 区点・Unicode 2006年
新潮日本語漢字辞典 × × 2007年