長崎大学の情報メディア基盤センターと学術情報部は2013年3月27日、これからの教育現場のパソコン環境を考える「第1回 長崎大学ICTセミナー」を開催した。日本マイクロソフトが共催し、同社の教育分野での取り組みを紹介するとともに、Windows 8、Office 2013、Office 365といった最新ツールの教育現場での活用を提案した。

 長崎大学は昨今、教育改革の一環として、学内の情報基盤の整備を進めている。2013年度には、教員や学生間のコミュニケーションやポートフォリオ作成などを支援する「LACS(Learning Assessment & Communication System、主体的学習促進支援システム)」を導入する予定。全学に無線LAN環境を整備することや、学生に対してパソコンを必携にすることなども検討中だ。今回のセミナーは、こうした取り組みに関連して、学生にとって必要なICTスキルや、ICTを活用した教育の最新事情を解説するのが狙い。長崎大学をはじめとする長崎県内の教職員や学生などおよそ80名が集まった。

 日本マイクロソフトからは、パブリックセクター統括本部 文教本部 ソリューション部 ソリューションスペシャリストの河端洋幸氏が登壇。同社が運営する「21世紀の教室」など、教育分野での取り組みを紹介した。

 「21世紀の教室」は、同社が品川本社に設置した、ICTを使った模擬授業を体験できる施設。マイクロソフトが全世界で展開する教育分野でのICT活用提案活動「Windows in the Classroom」の一環として、2012年11月にオープンした。Windows 8を搭載したタブレット、メールや情報共有などの機能を提供する「Office 365 for Education」、各種デジタル教材などを活用しながら、子供の創造性や思考力、コミュニケーション力を伸ばすための授業を実施する。運営には、教科書会社などパートナー各社と協力。予約制で、教育関係者を対象に実施し、地方開催の相談も受け付けている。

 河端氏によれば、こうした21世紀型の授業を実現できるようになった技術的な背景として、Windows 8の登場は大きいという。タッチ操作に本格的に対応したWindows 8タブレットを1人に1台用意することで、より直観的な操作でICTを活用できる環境が整う。また、情報を共有しながら協働して学習するためのインフラが整備されたこともポイント。同社のクラウドサービス「Office 365」を教育機関向けに提供するOffice 365 for Educationがこれに当たる。さらに同社では、教職員がノウハウを共有したり、提案したりできるコミュニティ「Partners in Learning(PiL)」を提供し、教育の質や指導力を高めていくための支援を行っている。

 このほかセミナーでは、日経BP社から「日経パソコン」副編集長の田村規雄氏が講演。パソコンの基礎的な操作だけでなく、ソーシャルメディアの上手な活用法や、セキュリティや著作権に関する知識など、学生として身に付けておきたいICT活用スキルについて説明した。併せて、同社が4月にスタートさせる教育機関向けクラウドサービス「日経パソコンEdu」の取り組みなども紹介した。