米AOLは現地時間2012年4月9日、800件を超える同社の保有特許を米Microsoftに売却し、併せて300件以上の特許をライセンス供与すると発表した。これによりAOLはMicrosoftから総額10億5600万ドルを現金で受け取る。売却手続きは規制当局の承認などを経て年末までに完了する見通し。

 AOLによると、特許資産売却の目的は株主価値の向上。同社は取引による利益の大部分を株主に還元するとしており、Tim Armstrong会長兼最高経営責任者(CEO)も声明で「特許の売却とライセンス供与によって、AOLの戦略である長期的な株主価値の向上を引き続き積極的に遂行できる」と述べている。

 Armstrong会長兼CEOが2009年に同職に就いて以来、AOLは広告を収益源とするメディア事業中心のビジネスモデルへと転換を図っているが、ここ最近は広告収入の落ち込みが続いている(関連記事:Twitter共同創設者のBiz Stone氏、AOLの「戦略的アドバイザー」に)。米Wall Street Journalによると、そうした中、同社は大株主から保有特許が遊休資産になっているとの指摘を受けていた。

 英Financial Timesによると、AOLが売却する特許には電子メールやメッセージング、モバイル技術、位置情報技術に関するものが含まれる。Microsoftのかつてのライバルで、後にAOLに買収されたNetscape Communicationsの発明特許も含まれると同紙は伝えている。

 なお、AOLがMicrosoftにライセンス供与する約300件の特許の範囲は、広告、検索、コンテンツ生成/管理、ソーシャルネットワーキング、マッピング、マルチメディア/ストリーミング、セキュリティーなど。これらはAOLの中核技術をカバーするもので、Microsoftへの特許売却後もAOLが保有し続けるとしている。

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