「もはやスマートフォンがブームという時代は終わり。今後はパソコンに代わりスマートフォンがネット利用の標準になる」。12月13日から開催されているイベント「スマートフォン&タブレット2011冬」の講演で、野村総合研究所コンサルティング事業本部ICT・メディア産業コンサルティング部の石綿昌平氏がスマートフォン市場の最新動向について講演した。スマートフォンの普及拡大と同時に、各種サービスが多数登場し、新たな用途を切り開くという展望を示した。

 まず石綿氏は、日本において携帯電話機の売れ筋上位10機種中でスマートフォンが9機種を占めているという状況を示した上で、今後はさらにスマートフォンの比率が高まると予測。「2015年末には携帯電話機の普及台数でスマートフォンの比率が半数を超える。6000万人がスマートフォンを持っていることになる」という調査結果を示した。世界市場を見ても、今後2~3年内にはスマートフォンの普及台数が10億台以上になり、「パソコンの普及台数をスマートフォンが超える」という。

 スマートフォンが普及することで、「Foursquare」のようにユーザーの位置と連動した情報を提供するサービスが登場してきた。小型軽量でGPSも搭載したスマートフォンであれば、「隣の店で特売品がありますよ」といった位置に合わせた情報を提供するサービスが容易に展開できる。こうしたネット上の情報サービスをリアル店舗の売り上げにつなげるオンライン・ツー・オフライン(O2O)コマースの可能性が高まっていると石綿氏は指摘する。現在のパソコンを中心とするネット販売(EC)サイトの市場は国内で20兆円。これに対し、国内の小売市場は130兆円で、スマートフォンの特徴を生かした販売サービスが普及すれば、EC市場はまだ伸びる余地がある。

 ほかにも、スマートフォンはアジア各国など途上国で普及が進んでいること、音声認識や画像認識などの技術も進みさらなる可能性が増していることなどの要因を挙げ、スマートフォンによってネット関連のビジネスが拡大し加速するという展望を示した。