ウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)は2011年11月25日、若年層によるICT(情報通信技術)活用の促進や、そのコミュニケーションスキルの向上などを図る「Digital Youth プロジェクト」を12月1日から開始すると発表した。WDLCは、パソコンやデジタル機器の普及を促進するための業界団体。参加各社が提供するハードウエア/ソフトウエアや情報・コンテンツサービスなどを連携させた新しいライフスタイルを提案することで、市場全体の活性化を目指している。

 発表会ではまず、WDLC会長を務める日本マイクロソフト 執行役常務 コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏が挨拶。「2007年のWDLC発足以来、当初は48社だった会員が今は117社に増えた。4年間で5つのキャンペーンを展開し、たいへん大きな成果を上げている。このような取り組みができるのは、世界の中で日本だけだ。WDLCはワールドワイドでもユニークな取り組みとして注目されている」とWDLCの活動を振り返った。

 具体的な成果としては、地上デジタルチューナー搭載パソコンの普及を目指した前回のキャンペーン「パソコンも地デジカ」(2010年4月27日~2011年7月31日に実施)について報告。電子情報技術産業協会(JEITA)による2010年4月から2011年7月までの地上デジタルチューナー搭載パソコンの出荷予測が60万台だったのに対し、実際の出荷が144万6000台に上ったことから、約85万台の出荷増に貢献したと総括した。

 そして2011年12月から開始するのが、今回発表した「Digital Youth プロジェクト」だ。WDLC事務局長で、日本マイクロソフト OEM統括本部 マーケティング本部 業務執行役員 本部長の勝俣喜一朗氏は、プロジェクトの目的を「さまざまな個性を生かしながら、若者の芽を伸ばし、ICTを基礎力として国際競争力を持てるような若者になることを応援する」ことだと話す。ここで言う国際競争力とは、コミュニケーション能力や創造力に加えて、それらのベースとなるICT活用能力のこと。国際的なコミュニケーションやコラボレーションを実現したり、アイデアを創造、企画、実行したりする能力の育成を、パソコンやICTを使って支援するのがプロジェクトの目標だという。

 短期的なキャンペーンとしては「SUPER ROOKIES(スーパールーキーズ)」を12月1日から2012年5月31日まで実施。「モバイル高速通信」「SNS活用」「PC/スマホ使い分け」「Office活用」など7つのシナリオを提示してパソコンやスマートフォンの活用を促進する。また、各界で活躍する著名人が学生時代に作成した企画書や原稿を公開する「経験フォルダ」をWebで展開。学生などが自由にダウンロードして、人生のヒントにできるようにする。例えば、放送作家・脚本家の小山薫堂氏が学生時代に書いたシナリオをWordファイルで公開する。そのほか、東日本大震災のボランティアとして活躍した学生など、同世代の“ヒーロー”を映像化することで、彼らがどのようにパソコンを使っているのかを紹介する。

 長期的な取り組みとしては、2012年春から「WDLC塾(仮称)」を開講する。WDLCの会員企業から講師を選出し、そのビジネスを座学・実習・演習の3形態で教える計画だ。講義は6カ月で全24回程度実施し、開講は19時を予定。対象は高校2年生や大学1、2年生など、進路を決定する前の学生を想定している。

 本来はパソコンなどの販促を目的とするWDLCが、このような社会貢献事業的なプロジェクトを実施することについて、WDLC事務局長の勝俣氏は「パソコンを売ることが目的ではなく、パソコンが必要になるという環境に対して、社会事業と販売活動の両立させるために、WDLCだからできることを考えた。日本の大きな課題に対して、産業界がまとまることによって応援するプロジェクトだ」と語る。その上で、「若者に対する応援が、最終的にはパソコンの販売にもつながっていく」と市場拡大への期待もほのめかした。