米マイクロソフトは2011年9月8日(米国時間)、次期OS「Windows 8」(開発コード名)の起動時間が、現行のWindows 7に比べて30~70%短縮できることを明らかにした。開発チームによるブログ「Building Windows 8」への投稿を通じて説明した。

 同社の調査によれば、パソコンを終了する際、ノートパソコンの45%、デスクトップパソコンの57%で、完全に電源を切る「シャットダウン」が選ばれている。メモリーに通電して他の機器の電源を落とす「スリープ」の利用率は、それぞれ45%と42%。ハードディスクにメモリーの内容を退避して完全に電源を切る「休止状態」は、わずか11%と1%にとどまった。

 同社では、多くの人がシャットダウンを利用しているのは、パソコンの電源を入れたときに、安定した“フレッシュスタート”の状態にしたいからだと分析。Windows 8では、シャットダウンからの電源オン(コールドブート)と、従来の休止状態の長所を取り入れた、新しい高速起動モードを導入することにした。

 通常のシャットダウンでは、「ユーザーセッション」と「カーネルセッション」、およびさまざまなデバイスを全て終了させる。このため、電源を入れてコールドブートすると、Windowsのシステム全体を初期化して起動しなくてはならず、その分の時間がかかる。

 一方、休止状態にすれば、メモリー内容をハードディスクに休止ファイルとして保存するだけなので、終了時間は少し短縮できる。しかし、デバイスドライバーの初期化が行われないため、OSが不安定になる可能性がある。また、休止ファイルがメモリー容量の75%程度と大きいので、休止状態からの復帰にもそれなりの時間がかかる。

 これらに対して、Windows 8の高速起動モードは次のように働く。終了時には、ユーザーセッションを完全に終了させながら、カーネルセッションのデータは休止ファイルとしてハードディスクに保存する。カーネルセッションだけを保存するので、休止ファイルの容量はメモリーの10~15%程度に収まり、終了処理にかかる時間も短い。そして高速起動時には、休止ファイルを読み取り、デバイスドライバーを初期化するだけでログオン画面まで到達できる。その後、ログオン後にユーザーセッションを初期化すれば使用可能な状態になる。

 Windosの全システムを初期化して起動するよりもずっと速いことに加え、ドライバーの初期化が行われるので、より安定した状態で起動できる。さらに、マルチコアCPUのパソコンで起動するときは、圧縮された休止ファイルのデータを読み込むと同時にファイルを展開できるので、よりスピードアップできるという。

 ブログでは、高速起動モードによって、電源を入れてから6~7秒でスタート画面が表示されるようになったWindows 8のデモが動画で公開されている。