KDDI(au)は2011年7月27日、マイクロソフトが開発する新しいスマートフォン向けOS「Windows Phone 7.5」を搭載するスマートフォン「IS12T」(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製)を発表した。都内で開催された発表会では、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏がWindows Phoneの特徴や新しさについて説明した。

 「auらしさとは何か、それは“ワクワク感”である。そういった意味で、これまでは『いろいろなスマートフォンを選べる』ということを話してきた。しかし今日は、『いいものをいち早く』というワクワク感を提供する。日本初上陸のものをauからお届けするということで、Windows Phoneを発表する」

 田中社長は、冒頭でこう切り出した。欧米では既に2010年10月から「Windows Phone 7」を搭載したスマートフォンが販売されているが、日本語に正式対応していなかったこともあり、国内では提供されていない。KDDIが2010年に投入した「IS02」は、一世代前のOS「Windows Mobile 6.5.3」を搭載したモデル。「Windows Mobileとか、Windowsケータイとかいろいろ出ていて分かりにくいが、Windows Phoneが一番新しく、これまでのコンセプトと全く違うものと理解してほしい」(田中社長)。

 “プロ”として約1カ月間試用した田中社長は、新しいWindows Phoneの感想を次のように語った。「Windows Phoneは、最初の1日や1日半は非常に取っ付きにくい印象を与える。ところが、それを過ぎるとだんだん気持ちよくなってくる。スマホ自身が非常にスムーズに動く点もそうだが、Windows PhoneにSNSを登録していくと、『SNSの世界ってこうなるんだ』とじわじわと気持ちよくなる。MSNのニュースアプリを見れば、『ニュースの見方はこういう見方になるんだ』と思うようになる。これから実際に触れる人は、5分で判断するのではなく、ちょっと使い込んでいただくことをお勧めしたい。スマートフォンの未来が、気持ちよさの次に見えてくるのではないか」。

 お気に入りの機能としては、クラウドと連携したパソコンとのファイル共有機能について挙げた。パソコンでWebブラウザーを開き、ファイルをドラッグ・アンド・ドロップすると、マイクロソフトのオンラインストレージ「SkyDrive」にファイルをアップロードできる。そのファイルはそのままWindows Phoneに付属する「Office」で開くことができ、閲覧だけでなく簡単な編集も可能だ。また、シャッターボタンを押すだけで、即座に写真が撮れることを挙げ、「いちいちアプリを立ち上げなくても、どこにいてもボタンを押すだけで写真が撮れる。そしてそのままWindows Phoneの中でアルバム化される。さらにSkyDriveの上でも写真がアルバム化され、家族や友達と共有できる」(田中社長)。

 一方で、「Android au」というブランディングでグーグルの携帯端末向けOS「Android」の搭載製品に注力している点に関しては、「これからはそういうわけにはいかないというのが本音。『Android au』というのは非常にいいし、『Windows au』というわけにはいかないし、どうしようかというのが現時点」(田中社長)と、製品の位置付けやプロモーション方法は検討中だという。「とはいえ、選ぶのはお客様だと思っている。いろいろな製品をそろえて、これっていいよね、もっと気持ちよくなれるよね、といったプロモーションをしていきたい。製品が発売になるときの新たなプロモーションを楽しんでもらえればと思う」。

 発表会で挨拶した日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は、「ようやくこの日を迎えることができ、大変うれしい。Windows Phoneは、Windows Mobileとは根本からコンセプトを入れ替えたOS。これまで『Mango』という開発コードで呼ばれていたWindows Phone 7.5を搭載した端末は、このままいけば、世界で初めて日本で投入されることになる。日本マイクロソフトとしても総力を挙げて巻き返しを図りたい」と意気込みを語った。