アップルは2011年4月28日、タブレット型の多機能携帯端末「iPad 2」を全国で発売した。震災の影響で、恒例となっている派手な発売イベントは実施されなかったが、アップルの直営店「アップルストア銀座」では、300人以上の行列ができるなど、人気の高さを示した。

 米アップルは3月25日に海外の25カ国でiPad 2を発売していたが、東日本大地震が発生した日本では、被災地などへの配慮から、発売が延期された。震災の影響で、iPad2の部品が不足したためという憶測も流れたが、アップルの広報によると、そうした事実はないという。

 同社は4月27日夜に、翌28日9時から発売すると発表。従来、iPhoneやiPadなど注目を集めている製品では、少なくとも数日前には発売日を公表していた。今回、ギリギリのタイミングで発売日を示した背景には、お祭り騒ぎを避けたいという配慮があったようだ。

 アップル直営の旗艦店「アップルストア銀座」では、8時30分の時点で330人が行列、開店の9時には400人程度まで人数が増えた。3G通信対応モデルの列の先頭に位置していた女性は、「昨夜は夜の8時30分から並び始めた。雨が降っていて、とても寒かった。iPad 2は、所有している本を自炊(デジタル化)して電子書籍を読む用途に使いたい。初代のiPadも持っているが、それは兄の子供にあげます」と、新モデルを入手できる喜びを語っていた。

 9時になると、アップルストアの扉が開き、青いTシャツを来た店員が拍手をしながら購入者を迎え入れた。ゲストが登場する、カウントダウンをするといったイベントはなく、ごく自然な形で順番に購入者が店の中に案内されており、混乱などはなかった。店内には複数のiPad 2が展示されており、来店した人が自由に試せるようになっている。店内には大量のiPad 2の箱が並んでいたが、在庫の数や販売数の見通しは非公開という。

 銀座に近い有楽町のビックカメラでもiPad 2を求める人々の列が出来ていた。7時ころには早朝の電車で来店したと見られる約20人が集まっていたという。9時時点の行列の人数は約250人。3G対応でメモリー16GBの黒モデルのように既に品切れとなったモデルはあるものの、早いうちに並べば、別のモデルは購入できるとのことだった。