Intelは2011年1月6日、「Sandy Bridge」(サンディブリッジ)の開発コード名で呼ばれていた、新世代となるCore iシリーズの詳細や一部製品の価格を正式に発表した。グラフィックス機能をCPUの演算部分のダイ(半導体本体)に統合した点、内蔵グラフィックスやTurbo Boostの強化などが特徴だ。Core i7/i5/i3シリーズ全てに製品を投入。デスクトップPC向けが14製品、ノートPC向けが15製品となる(関連記事:ついに姿を現したSandy Bridge、性能向上で消費電力が低下)。

新世代となるCore iシリーズのロゴ。現行からデザインを変更した。
新世代となるCore iシリーズのロゴ。現行からデザインを変更した。
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新しいCore i7プロセッサー。
新しいCore i7プロセッサー。

 新CPUは現行のCore iシリーズと同じく32nmの製造プロセスを採用したまま、内部の設計を刷新している。これまで別のダイだったグラフィックス機能を、CPUの演算部分と完全に統合した点が大きな特徴の1つだ。今回の発表ではデスクトップPC向けからCore i7-900番台を除く主力モデルと低価格モデルが登場。ノートPC向けは全ラインアップを一新した。デスクトップPC向けには、Turbo Boost時の倍率や効きやすさなどを変更できるようにして、オーバークロックを楽しめる「K」モデルを用意する。

 Core i7/i5/i3によって機能に違いがある。Core i7はHyper-Threadingに対応し、ほとんどのモデルが4コアで合計8スレッドを同時に実行できる。Core i5はノートPC向けとデスクトップPC向けの一部モデルのみHyper-Threadingに対応する。Core i3はHyper-Threadingに対応するが、Turbo Boostは搭載しない。Turbo Boostは現行より効率を高めた「2.0」に強化。一時的に電圧レベルを引き上げることで、Turbo Boostモードへの移行を従来より高速にした。

 内蔵グラフィックス機能はデスクトップPC向けではKモデルとノートPC向けの全製品が「Intel HD Grapchis 3000」を採用。その他のデスクトップPC向けは「同2000」となる。3000の演算ユニット(EU)は12個、2000は6個だ。現行のノートPC向けCPUが搭載していた、内蔵グラフィックス機能の動作周波数を動的に変更する機能を、デスクトップPC向けCPUにも採用した。CPUとグラフィックス機能のどちらか一方があまり使われていないときは、もう一方の動作周波数を高められる。新機能として、H.264やMPEG-2の動画エンコードを支援する「Quick Sync」を搭載。同機能にソフトウエアが対応していれば、動画のエンコードなどを高速に処理できる。

 キャッシュの構成も改良した。新CPUでは、従来の3次キャッシュに相当する「LLC(Last Level Cache)」という名称のキャッシュを、コアごとに備えている。LLCと、従来のチップセットのノースブリッジ機能に相当する「システムエージェント」や、グラフィックス機能はリング状のバスで接続する。このほか「AVX(Advanced Vector Extensions)」と呼ぶ256ビット演算用の命令セットを実装した。対応メモリーはデスクトップPC向けがDDR3-1333なのに対して、ノートPC向けはDDR3-1333のほかに、Core i7の上位モデルはDDR3-1600に対応する点が異なる。

新CPUのダイ写真。これまで別のダイだったグラフィックス機能を、CPUの演算部分と完全に統合している。3次キャッシュに相当するLLCを各コアで共有する。LLCと、グラフィックス機能やシステムエージェントとはリング状のバスで接続する。
新CPUのダイ写真。これまで別のダイだったグラフィックス機能を、CPUの演算部分と完全に統合している。3次キャッシュに相当するLLCを各コアで共有する。LLCと、グラフィックス機能やシステムエージェントとはリング状のバスで接続する。
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新しいCore i7/i5/i3シリーズの主な特徴。Turbo Boostを「2.0」に強化。内蔵グラフィックス機能は2種類を用意し、新機能として動画エンコードを支援する「Quick Sync Video」を搭載する。
新しいCore i7/i5/i3シリーズの主な特徴。Turbo Boostを「2.0」に強化。内蔵グラフィックス機能は2種類を用意し、新機能として動画エンコードを支援する「Quick Sync Video」を搭載する。
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 チップセットは新たに「Intel 6」シリーズを使う。デスクトップPC向けは4種類で、一般消費者向け製品は「Intel P67」と「Intel H67」。デスクトップPC向けのCPUは新しい「LGA1155」というパッケージになっている。従来のCore i7-800シリーズ以下で使われていたLGA1156とは互換性が無い。新チップセットの大きな違いはSerial ATA 6Gbpsを2ポート備える点とPCI Express 2.0の速度が5Gbps(片方向500MB/秒)になった点だ。ただし、USB 3.0はサポートしていない。ノートPC向けには5種類のチップセットを用意している。こちらもSerial ATA 6Gbpsを2ポート備える。

デスクトップPC向けIntel 6シリーズチップセットの主な特徴。一般消費者向け製品は「Intel P67」と「Intel H67」。Intel P67はCPUが内蔵しているグラフィックス機能が使えないが、CPUのオーバークロックが利用できるなどの違いがある。
デスクトップPC向けIntel 6シリーズチップセットの主な特徴。一般消費者向け製品は「Intel P67」と「Intel H67」。Intel P67はCPUが内蔵しているグラフィックス機能が使えないが、CPUのオーバークロックが利用できるなどの違いがある。
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ノートPC向けIntel 6シリーズチップセットの主な特徴。5種類の製品を用意する。デスクトップPC向けと同じく、Serial ATA 6Gbpsを2ポート備える。
ノートPC向けIntel 6シリーズチップセットの主な特徴。5種類の製品を用意する。デスクトップPC向けと同じく、Serial ATA 6Gbpsを2ポート備える。
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●デスクトップPC向け新型CPUのラインアップ
※メモリーはいずれもデュアルチャンネルDDR3-1333に対応。スレッド数がコア数の倍のCPUはHyper-Threadingに対応。LLCはLast Level Cacheの略。全コアで共有する、従来の3次キャッシュに相当する。
ナンバーコア/スレッド動作周波数ターボ時最大LLC容量内蔵グラフィックス内蔵グラフィックス
最大動作周波数
vPro対応AES-NITDP
i7-2600K4/83.4GHz3.8GHz8MB30001350MHz95W
i7-26004/83.4GHz3.8GHz8MB20001350MHz95W
i5-2500K4/43.3GHz3.7GHz6MB30001100MHz95W
i5-25004/43.3GHz3.7GHz6MB20001100MHz95W
i5-24004/43.1GHz3.4GHz6MB20001100MHz95W
i5-23004/42.8GHz3.1GHz6MB20001100MHz95W
i3-21202/43.3GHz3MB20001100MHz65W
i3-21002/42.93GHz3MB20001100MHz65W
i7-2600S4/82.8GHz3.8GHz8MB20001350MHz65W
i5-2500S4/42.7GHz3.7GHz6MB20001100MHz65W
i5-2500T4/42.3GHz3.3GHz6MB20001250MHz45W
i5-2400S4/42.5GHz3.3GHz6MB20001100MHz65W
i5-2390T2/42.7GHz3.5GHz3MB20001100MHz35W
i3-2100T2/42.5GHz3MB20001100MHz35W

●ノートPC向け新型CPUのラインアップ
※グラフィックス機能は全てIntel HD Graphics 3000を搭載する。
ナンバーコア/スレッド動作周波数ターボ時最大LLC容量対応メモリー内蔵グラフィックス
最大動作周波数
TDP
i7-2920XM4/82.5GHz3.5GHz8MBDDR3-16001300MHz55W
i7-2820QM4/82.3GHz3.4GHz8MBDDR3-16001300MHz45W
i7-2720QM4/82.2GHz3.3GHz6MBDDR3-16001300MHz45W
i7-2635QM4/82GHz2.9GHz6MBDDR3-13331200MHz45W
i7-2630QM4/82GHz2.9GHz6MBDDR3-13331100MHz45W
i7-2620M2/42.7GHz3.4GHz4MBDDR3-13331300MHz35W
i5-2540M2/42.6GHz3.3GHz3MBDDR3-13331300MHz35W
i5-2520M2/42.5GHz3.2GHz3MBDDR3-13331300MHz35W
i7-2649M2/42.3GHz3.2GHz4MBDDR3-13331100MHz25W
i7-2629M2/42.1GHz3GHz4MBDDR3-13331100MHz25W
i5-2410M2/42.3GHz2.9GHz3MBDDR3-13331200MHz35W
i3-2310M2/42.1GHz3MBDDR3-13331100MHz35W
i7-2657M2/41.6GHz2.7GHz4MBDDR3-13331000MHz17W
i7-2617M2/41.5GHz2.6GHz4MBDDR3-1333950MHz17W
i5-2537M2/41.4GHz2.3GHz3MBDDR3-1333900MHz17W

●デスクトップPC向けCPUの価格
※価格は大手メーカー向けの1000個ロット時の卸価格。CPUクーラーなどは含まない。
ナンバー価格
Core i7-2600K2万6970円
Core i7-26002万5010円
Core i5-2500K1万8380円
Core i5-25001万7440円
Core i5-24001万5660円
Core i5-23001万5060円
Core i3-21201万1740円
Core i3-21009950円
Core i7-2600S非公開
Core i5-2500S非公開
Core i5-2500T非公開
Core i5-2400S非公開
Core i5-2390T非公開
Core i3-2100T非公開

●ノートPC向けCPUの価格
※価格は大手メーカー向けの1000個ロット時の卸価格。
ナンバー価格
Core i7-2920XM9万3250円
Core i7-2820QM4万8330円
Core i7-2720QM3万2160円
Core i7-2635QM非公開
Core i7-2630QM非公開
Core i7-2620M2万9440円
Core i5-2540M2万2630円
Core i5-2520M1万9140円
Core i7-2649M2万9440円
Core i7-2629M2万6460円
Core i5-2410M非公開
Core i3-2310M非公開
Core i7-2657M2万6970円
Core i7-2617M2万4590円
Core i5-2537M2万1270円