アナログチューナー非搭載のDVDレコーダーに対する私的録画補償金の扱いをめぐり、私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝に敗訴した東京地裁の判決を受け、実演家著作隣接権センター(CPRA)運営委員の椎名和夫氏は2010年12月27日、日経パソコンの取材に対しコメントした。

 権利者側敗訴となった判決内容については、「私は原告でないので裁判自体にあれこれ言う立場ではない」と前置きしつつ、「ひどい判決。今の時代の空気、コンテンツを取り巻く状況の厳しさを示したものだと思う」とした。また、アナログ非搭載機が補償金の対象と認められた一方、メーカー側の協力義務に強制力がないと判断されたことについて、「権利者がユーザー1人ひとり対し、補償金を払えと言わねばならない。その社会的コストをどうするというのか。今回の判決では何も解決していない」と批判した。

 今後については、「ユーザー側は利便性を求めるし、権利者側は権利の保護を求める。そうした利害の衝突を解決する手段の1つとして私的録音録画補償金制度が制定された。双方の利害の衝突を解決して利便性と権利保護を両立しようという補償金制度の趣旨は存在し続けている。1つの機器が対象か否かと争われ、結果として勝っても負けても、それは本質ではない。本質について話し合いの場を持っていきたい」と語り、個別の係争にとらわれず、大局的な制度のあり方について議論していきたいとした。

 メーカー側との話し合いについては、「情報通信審議会では権利者やメーカー、消費者などさまざまなステークホルダーがいる中、話し合いでダビング10をまとめ上げた。メーカー側は必ずしも一枚岩ではなく、我々の話を聞いてくれるところも出てきている。そうしたところから少しずつ解きほぐしていきたい」との考えを示した。