ソニーは2010年8月26日、ブルーレイディスクレコーダー6製品を9月25日以降順次発売すると発表した。今回の製品はアナログチューナーを搭載しておらず、同社では販売時に私的録画補償金を徴収しない方針としている。アナログ非搭載機について補償金を徴収せずに販売するのは、東芝とパナソニックに続き3社目となる。

 アナログ非搭載機に対する私的録画補償金の扱いをめぐっては、私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝を相手取り訴訟を起こしており審理中。2011年7月のアナログ停波を控え、メーカー各社がアナログ非搭載機のラインアップを拡充することが予想され、メーカー側と権利者側のつばぜり合いが激しくなりそうだ。

 ソニーが発売するのは「BDZ-AX2000」「BDZ-AX1000」「BDZ-AT900」「BDZ-AT700」「BDZ-AT500」「BDZ-AT300S」の6機種。BDZ-AX2000は9月25日に、それ以外の5機種は10月22日に発売する。6機種ともアナログチューナーを搭載しない。

 私的録画補償金の集計と支払いは毎年3月末日と9月末日に行われており、今回発売の6機種については、最初の集計が9月末日、支払いが2011年3月末日となる。

 ソニー広報センターは日経パソコンの取材に対し「今回のモデルは補償金を含んでいない」とコメントし、販売時にユーザーから私的録画補償金を徴収しないことを明らかにした。その上で、「現在(SARVHと東芝との間で)訴訟が行われているところなので、今後の判決などで解釈が明確になれば、それに基づいて対応を考えたい」と表明。仮にメーカー側に補償金の支払いを求める判決が確定した場合、今回の6機種についても何らかの形で補償金を支払うよう検討する考えを示した。

 SARVHと東芝との訴訟は、東京地方裁判所で審理が継続中。双方の主張が出尽くしつつあり結審が近いとみられるが、敗訴した側が上訴する可能性もあり、判決が確定するまでには長期間かかるとみられる。SARVHはパナソニックに対しても民事訴訟を起こす意向を示しているが、「提訴する時期をいつにするか見極めているところ」(SARVH 専務理事の高比良昭夫氏)。東芝に対する訴訟とパナソニックに対する訴訟が1つにまとめられるのを避ける意図があるとみられる。