グーグルが提供する地図検索サービス「Googleマップ」が、2010年8月6日にサービス開始から5周年を迎えた。東京都内で同日会見した米グーグル 製品管理担当副社長のジョン・ハンケ氏は「世界中のあらゆる場所の情報を掲載したい」と今後に向けた意気込みを表明した。

 Googleマップの機能拡張についてハンケ副社長は、「現在Googleマップで扱っている地点は約1億だが、世界中のあらゆる場所を網羅するには10億地点をカバーする必要がある」との考えを表明。例えば、ユーザーが地点情報を追加できる「プレイスページ」機能や、地図情報が整備されていない途上国においてユーザーが道路などの情報を追加できる「マップメーカー」機能により、提供する情報量を拡充するとしている。

 店舗の外観に加え内部の写真も撮影・公開する「おみせフォト」機能も提供予定。店内写真の掲載に同意した店舗から順次撮影を進めているという。さらに、将来に向けた取り組みとして、天候の変化を地図に反映させたり、火災や台風といった災害や原油流出といった事故の際に、現場の状況を迅速にGoogleマップへ反映させたりする機能を実装したいとしている。

 Googleマップの日本版は、当初は英語版のGoogleマップをそのまま翻訳したような形態で提供されていたが、(1)都道府県→市町村→町域・字→番地といった順に並ぶ日本語の住所による地点検索機能(2)ビル名やコンビニなどのランドマーク情報を活用した経路案内機能(3)徒歩利用が多い日本人の距離感覚に合わせた半径500mの「周辺検索」機能――などを実装。その後、飲食店の検索時に店舗の写真やレビューを併せて表示したり、ユーザーが撮影した写真を地図上にマッピングして表示したりといった機能を日本版独自で追加。こうした機能は、海外版にも順次移植されているという。

 ここ1年ほどでは、(1)機械翻訳を使って海外の地名を日本語表記にして表示するサービス(2)ジョギングなどのルートを標高情報も含めて立体表示したり結果を記録したりする機能(3)月の地図を見られる「Google Moon」(4)撮影機材を搭載した自転車を使い寺の境内などを「Googleストリートビュー」に掲載する取り組み(5)ユーザーの撮影した写真の撮影位置を解析してGoogleストリートビューにマッピングする機能――などを順次追加してきている。

テロ対策では「紛争地域の情報更新頻度を下げる」

 記者会見の質疑応答においてハンケ副社長は、Googleマップの機能拡充に伴いGoogleマップで提供する情報がテロなど軍事的に転用される可能性について、記者からの質問に答えた。「Googleマップに限らず、あらゆるインターネット上のサービスが軍事転用の可能性を含んでいる。Googleマップについては、米国防総省と情報交換を行ってテロ対策について話し合っている」とした。その上で、「テロ組織にとっては、Googleマップで入手できる情報よりスパイ活動などで得た情報の方が重要度が高く、Googleマップ情報の軍事転用の可能性は小さい。しかし、ガザ地区やアフガニスタン、イラクなどの紛争地域については、情報をそれほど頻繁にアップデートしないようにしている」と明らかにした。

■変更履歴
記事掲載当初、1枚目の写真の説明として「Googleマップ5周年を記念して、グーグル本社に作られた東京の立体地図模型」としていましたが、正しくは森ビルが以前から作成・所有しているものでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/08/06 19:15]