シマンテックは2010年7月8日、子どものインターネット利用に関して、14カ国で実施した調査の結果を発表した。他国と比較して、日本の保護者は子どもがネット上でどんな情報を目にしているかを知らない人が多かった。またネットの利用を親が管理するのでなく、子どもに主導権を持たせるべきと考える傾向が強いことも明らかになった。

 調査の対象となった国は、日本、米国、英国、中国、フランス、オーストラリアなど14カ国。約7000人以上の大人と、約2800人の子ども(8~17歳)が回答した。

 日本の保護者のうち、「子どもがネット上で見ている内容を全く知らない」と回答したのは17%。14カ国中で最も高い値だった。さらに日本の子どもの21%が、「自分がオンラインで何をしているか保護者は全く知らない」と答えた。

 ネット利用のルールを作っている家庭も少ない。ルールを作っていると回答した保護者は38%で、14カ国で最も低かった。子どもが閲覧できるサイトを保護者が管理するペアレンタル・コントロール機能を利用している保護者も、他国よりも少ないという結果が出た。「子どものオンライン活動を完全に管理すべきだ」と考える保護者の割合は、米国やカナダでは61%だったが、日本では25%。逆に「子どもには基本的に自由にネットを探索させ、不審なことやリスクがある場合のみに活動の内容を調べればよい」と回答した人が51%に上り、14カ国中で最も高かった。

 調査結果全体としては、子どものネット利用が長時間化していることなどが明らかになった。一日の利用時間の平均は1.6時間以上で、2009年の調査と比べて10%増えているという。

 米シマンテックのインターネットセーフティ推進担当を務めるマリアン・メリット氏は「一番大切なのは技術的なことではなく、子どものネット利用に親が積極的にかかわること。そして、子どもが困ったときに親に相談できるような環境を作っておくことだ」と、保護者へのアドバイスを述べた。

 発表会では、ネット教育アナリストの尾花紀子氏も登壇。ネット教育に関する国の施策が大きく変わろうとしている現状について説明した。従来は、危険性回避のため子どものネット利用を制限しようとする方針が採られていたが、今は「ネットの利用について家族で話そう、そして賢く使おう、という方向性に変わっている」(尾花氏)。家庭内できちんと利用のルールを決めること、そして常にそのルールについて話し合いを続け、必要に応じて変えていくことが重要だと訴えた。

 シマンテックは同日、子どものネット利用状況を保護者がチェックできるツール「ノートン オンライン ファミリー」の正式版を公開。ネットサービスとして提供されているツールで、アカウントを作成すれば無償で利用できる。制限するサイトなどを簡単に設定できることや、子どもが見たいサイトがブロックされた場合、なぜそのサイトを見たいのかを書き込んで親に送れる機能があることなどを紹介した。「mixi」や「GREE」などの国内のSNSの利用状況をチェックできる機能もアピール。例えば、ユーザー登録時に子どもが自分の年齢を偽ったら、その情報が親に送られるという。