2010年1月4日、CPUにAtom D510を搭載したMini-ITX規格のマザーボード「D510MO」(Intel)が発売になった。実勢価格は8500円。Atom D510は「Pine Trail(パイントレール)」の開発コード名で呼ばれていた小型PC向けの新型CPU。従来はチップセットに内蔵していたグラフィックス機能やメモリーコントローラーをCPUの演算コアに統合した点が特徴だ。日経WinPC編集部はD510MOを入手。性能や消費電力を測定し、従来のAtomと比較した。
Atom D510はIntelが2009年12月に発表したデスクトップPC向けのデュアルコアCPU。動作周波数は1.66GHz。2次キャッシュは合計1MB。Hyper-Threadingに対応し、最大4スレッドまで同時に処理できる。64ビットに対応、SSSE3までの拡張命令を備えるが、省電力機能の「拡張版SpeedStep」や仮想化機能(VT-x)には非対応。最近のCore i7/i5が備える「Turbo Boost」もない。TDP(熱設計電力、事実上の最大消費電力)は13W。製造プロセスは45nmで、従来のAtomを踏襲している。
Atom D510に内蔵するグラフィックス機能は「Intel Graphics Media Accelerator 3150」。グラフィックス機能の動作周波数は400MHz。DirectX 9に準拠でシェーダーモデル2.0に対応している。「Clear Video」という動画再生支援機能を搭載しており、MPEG-2形式の動画ファイルの再生時にCPU負荷を低減できる。新型AtomにはシングルコアのAtom D410もある。動作周波数や対応する拡張命令など基本設計は共通だ。TDPは10WとデュアルコアのAtom D510よりも低い。
これまでデスクトップPC向けのAtomとしては、デュアルコアの「Atom 330」、シングルコアの「Atom 230」があった。Atom D510やAtom D410はそれらの後継CPUとなる。内部の演算コアは大きく変わっていない。動作周波数は1.6GHzでHyper-Threadingを搭載することや、対応する拡張命令もほぼ同じだ。TDPはAtom 330が8W、Atom 230が4W。Atom D510やAtom D410のTDPはAtom 330やAtom 230よりも高いが、これはCPU演算コアにグラフィックス機能とメモリーコントローラーを内蔵したため。チップセットを含めたシステム全体で考えるとTDPは下がっている。
下にD510MOの主な仕様をまとめた。
メーカー名 | Intel |
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製品名 | D510MO |
CPU | Atom D510(1.66GHz) |
チップセット | Intel NM10 Express |
形状 | Mini-ITX(幅170×奥行き170mm) |
拡張スロット | PCI×1、PCI Express Mini Card×1 |
メモリー | DDR2-800×2 |
最大メモリー容量 | 4GB |
ストレージ | Serial ATA 3Gbps×2(NM10 Express) |
サウンド | HD Audio対応5.1チャンネル(Realtek ALC662) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet(Reaktek RTL8111DL) |