Intelは米国時間の2010年1月7日に、「マイクロアーキテクチャーNehalem」を採用した新型CPUを発表する。32nmプロセスで製造した演算コアを搭載する製品で、メモリーコントローラーだけでなくグラフィックス機能もCPUパッケージに統合した点が特徴だ。日経WinPC編集部は、デスクトップPC向けのCore i5-661を入手。同社の既存製品を交えて性能や消費電力を検証した。

 Intelが発表するのは、「Clarkdale」「Arrandale」(いずれも開発コード名)と呼ばれていた製品。ClarkdaleはデスクトップPC向け、ArrandaleはノートPC向けだが構造は基本的に変わらない。最大の特徴は、CPUにグラフィックス機能を内蔵する点。これまでのCore i7、Core i5はCPUパッケージにメモリーコントローラーやPCI Express 2.0 x16のインターフェースは内蔵していたが、画面描画は外部のグラフィックスチップ(ボード)を利用していた。

 CPUの内部構成はこれまでのCore i7、Core i5とは大きく異なる。従来のCore i7-900シリーズや同800シリーズ、Core i5-700シリーズは4コア(クアッドコア)と最大8MBの共有3次キャッシュ、メモリーコントローラーを45nmプロセスで製造した1個のダイ(半導体本体)に統合していた。一方、ClarkdaleやArrandaleは、「Westmere」の開発コード名で呼ばれていた演算コアと、メモリーコントローラーやグラフィックス機能を別のダイとして実装、それらをIntel独自の高速インターフェース「QPI(QuickPath Interconnect)」で接続している。

 演算部分はデュアルコア+最大4MBの共有3次キャッシュ。ClarkdaleやArrandaleは、デュアルコアCPUと、これまで「GMCH(Graphics Memory Controller Hub)」と呼ばれていたグラフィックス機能内蔵のノースブリッジを1パッケージに収めたものと考えると分かりやすい。トランジスター数は32nmのCPU部分が3億8300万、45nmのGMCH相当の部分が1億7700万。ダイサイズは32nmのCPU部分が81平方ミリメートル、45nmのGMCH相当部分は114平方ミリメートルとなっている。Westmereは、暗号化処理を高速にする「AES-NI」(NIはNew Instructionの略)という6個の新命令を備えるが、「CPU内部の命令の流れそのものの大幅な拡張はない」(Intel)という。

左は新型CPUの「Clarkdale」(開発コード名)。32nmプロセスで製造したCPUの演算部分と、メモリーコントローラーやグラフィックス機能を統合した45nmプロセスのチップセット部分を1つのパッケージに搭載した。右はClarkdaleと組み合わせるPCH(Platform Controller Hub)。いずれもデスクトップPC向け。
左は新型CPUの「Clarkdale」(開発コード名)。32nmプロセスで製造したCPUの演算部分と、メモリーコントローラーやグラフィックス機能を統合した45nmプロセスのチップセット部分を1つのパッケージに搭載した。右はClarkdaleと組み合わせるPCH(Platform Controller Hub)。いずれもデスクトップPC向け。
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左がチップセット相当部分、右はClarkdaleのダイ(半導体本体)。演算部分はデュアルコアで最大4MBの3次キャッシュを備えている。
左がチップセット相当部分、右はClarkdaleのダイ(半導体本体)。演算部分はデュアルコアで最大4MBの3次キャッシュを備えている。
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