グーグルは2009年12月2日、街の様子を360度のパノラマ画像で閲覧できる「Googleマップ」の「ストリートビュー」サービスについて、対象地域を拡大したと発表した。新たに追加したのは、新潟県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県の主要地域。同日より提供を開始した。

 ストリートビューは2008年8月、札幌、小樽、函館、仙台、東京、千葉、さいたま、横浜、川崎、鎌倉、大阪、京都の12都市についてサービスを開始。2009年10月に旭川、名古屋、長崎、沖縄へとエリアを拡大していた。今回公開した5県を合わせると、対象地域は22都道府県に及ぶ。

 同サービスについては、訪問先の下見などに便利なサービスとして評価される半面、通行人の姿や車のナンバープレート、個人宅の塀の中までが許可なく公開されていることから、プライバシーの侵害を懸念する声もある。

 そこで同社は、2009年5月にはプライバシー対策を強化。当初から施していた人の顔のぼかし処理に加え、車のナンバープレートへのぼかし処理を実施し、カメラの高さを下げた形での再撮影も開始した。また専用の電話窓口を用意して、インターネットを利用していない人でも照会できるようにしている。

 同社プロダクトマネージャーの河合敬一氏は、「電話窓口については、開設当初は多少お電話をいただいたが、最近は、閑古鳥が鳴いている状況。削除した画像の再公開を希望する電話があるなど、問い合わせ内容にも変化がある。当社の取り組みが評価されているようだ」と語り、同サービスが社会に理解されつつあるとの見方を示した。

 また、公開前に対象地域の住民に説明すべきだという批判に対しては、2009年10月にエリアを拡大したときから、都道府県および政令市レベルで、自治体への事前説明を行い、また公開前にも連絡をした。河合氏によれば、「心配だからやめてほしい」という自治体は一つもなかったといい、「うちが止めるものでもないし、やってほしいとお願いするものではない。代わりに、問い合わせがあった場合の連絡先だけ聞いておく」という自治体や「もっと積極的に活用したい」という自治体があったという。

 そのほか、地元のメディアに対しても記者説明会を実施。「テレビのニュースや地方紙でも取り上げてもらっている」(河合氏)という形で、情報を広く提供しているとした。

 ただし、カメラの位置を低くした形での再撮影については、現在、関東圏や関西圏で実施している最中で、再撮影後の画像を公開するめどは立っていない。今回公開した5県についても、再撮影を始める前の画像となるため、カメラの高さは現在公開中のほかの地域と同じになっている。河合氏は「何年もかけて作ったサービスなので、再撮影を始めますと約束して半年でできるものではない。ただ、2回目は1回目よりも上手になるので、少しでも早く公開できるように努力している。そう何年もかかるものではない」と弁明。現在は、新たな地域の撮影は行わず、再撮影を優先して行っていることを明らかにした。

 なお、既に撮影済みだが未公開の地域はまだ残っているといい、時期は未定だが、いずれは公開する予定だ。