Intelは米国時間2009年2月10日、32nmプロセスで製造するデスクトップ/ノートパソコン向け次期CPU「Westmere」(ウエストメア、開発コード名)の詳細を明らかにした。まずは2009年10~12月に、デスクトップ/ノートパソコン向けのデュアルコアCPUとして、Westmereベースの32nmプロセスの製品を投入。2010年には、ハイエンドのデスクトップ向けCPU、Core i7の後継として、6コア、12スレッドのCPUを投入する。サーバー向け製品でも2010年から順次32nmプロセスのCPUを投入し、ラインアップを刷新していく。
同日、米国サンフランシスコで開催した報道関係者向け説明会で、デスクトップ向けとノート向けのWestmereの試作品を実演した。32nmプロセスのCPUを実際に動く状態で披露したのは今回が初めてとしている。
Intelは2008年11月、マイクロアーキテクチャーを一新したCPUとしてCore i7の出荷を始めている。今回明らかにしたWestmereは、このCore i7で採用しているNehalemマイクロアーキテクチャーを継承しつつ、製造プロセスをCore i7の45nmから32nmに微細化したものである。Intel社内では「P1268」のプロセス名で呼ばれている。微細化により、トランジスターの動作速度を14~22%向上させた一方、リーク電流も減らすことに成功したとしている。
Westmereのラインアップは、当初は3種類。(1)普及価格帯のデスクトップ向けデュアルコアCPU(開発コード名:Clarkdale、クラークデール)、(2)普及価格帯のノート向けデュアルコアCPU(同:Arrandale、アレンデール)、(3)ハイエンドのデスクトップ向け6コアCPU(開発コード名:Gulftown、ガルフタウン)――である。(1)と(2)は2009年10~12月に、(3)は2010年に量産出荷する予定だ。(3)は現行のCore i7の後継となる製品で、CPUコアの数をCore i7の4個から6個へ、並列処理可能なスレッド数をCore i7の8スレッドから12スレッドへ、それぞれ引き上げる。
(1)~(3)のいずれも、Core i7で採用されたNehalemマイクロアーキテクチャーを踏襲した設計とする。すなわち、CPUにグラフィックスとメモリーコントローラーの機能を担わせ、チップセットにI/Oコントローラーの機能を持たせた2チップ構成に変更する。Core 2 Quad、Core 2 Duoなど、Core i7より前のCPUでは、CPU、チップセット、ICH(I/O Controller Hub)の3チップ構成であった。これを2チップ構成に変更することで、処理性能の向上と消費電力の低減などを見込んでいる。
一方でWestmereでは、新たな試みもみられる。(1)(2)では、微細化によりCPUコアのサイズを小型化し、それにより空いたスペースにメモリーコントローラー/グラフィックスチップの統合チップを配置する。CPUコアは32nm、メモリー/グラフィックス統合チップは45nmという、異なるプロセスで製造されたチップを混載したパッケージとなる。また(1)(2)は、高速インターコネクトであるQPI(QuickPath Interconnect)を省き、メモリーもDDR3のデュアルチャンネル構成とするなど、ハイエンド向けのCore i7で実装されていた一部仕様を削っている。
Intelでは普及価格帯CPUを45nmから32nmへ移行することに最優先で取り組むとしており、上位価格帯のクアッドコアCPUは、当面は45nmプロセスの製品を継続販売する。具体的には、デスクトップ向けの45nmクアッドコアCPU(開発コード名:Lynnfield、リンフィールド)とノート向けの45nmクアッドコアCPU(開発コード名:Clarksfield、クラークスフィールド)を2009年に量産出荷する。2010年に入り、普及価格帯CPUの32nmへの移行が一段落した段階で、LynnfieldとClarksfieldの後継となる32nmクアッドコアCPUを投入する計画だ。
サーバー向けCPU「Xeon」では、低価格機向けの3000番台、中位機向けの5000番台、ハイエンド機向けの7000番台のそれぞれで、32nmプロセスの製品を投入する。3000番台では、2010年の初めから、デスクトップ向けのClarkdaleを転用した製品を投入する。5000番台と7000番台では、45nmプロセスの「Nehalem-EP」「Nehalem-EX」の後継として、2010年にWestmereベースの製品を投入予定。最大で8コア、16スレッドの製品をラインアップする計画だ。