総務相の諮問機関である情報通信審議会 情報通信政策部会 デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会の第47回会合が、2008年12月22日に開催された。この中で、地上デジタル放送のコンテンツ保護に用いられているB-CASカードの見直しについて、「技術的エンフォースメント」の具体策として4種類の案が提示された。この日の会合では、これら4種類の案を基に議論が行われたが、結論には至らず継続審議となった。

 B-CASをめぐっては、地デジ対応機器を購入した際に、商品に添付されているB-CASカードを機器に装着しないと地デジ放送が見られないなど、使い勝手の難しさが指摘されている。また、地デジ放送を非正規の方法で複製できる機器が複数確認されており、B-CASの仕組みではコンテンツ保護が十分でないとの指摘もある。同委員会ではこうした問題を踏まえ、新たなコンテンツ保護技術を導入する「技術的エンフォースメント」と、非正規の方法による地デジの複製を法的に規制する「制度的エンフォースメント」の両面から、新たな制度設計を検討している。

 今回はこのうち技術的エンフォースメントについて、同委員会傘下のワーキンググループで出た案を基に4種類の案を提示した。具体的には、(1)B-CASカードを小型化する(2)B-CASカードをあらかじめ機器に装着した状態で市販する(3)コンテンツ保護機能を持つICを機器メーカーに提供し、機器メーカーが製造時にそのICを組み込む(4)コンテンツ保護機能を持つソフトウエアを機器メーカーに提供し、機器メーカーが製造時にそのソフトウエアを組み込む――というものだ。いずれの案も、主に地デジ対応機器の普及拡大を念頭に置いている。2011年に迫るアナログ放送の停波までに、地デジへの移行完了を実現するためである。このため、「既にB-CAS対応機器を購入した数千万人が引き続き地デジを受信できるよう考えると、B-CASをやめてしまうのは現実的ではない。新たな方式を導入するとともに、当面はB-CASを継続する方向で(今回の案を)検討した」(総務省 情報通信作品振興課長の小笠原陽一氏)としている。現行のB-CASカードに加え、これらの新方式を導入することで、例えば携帯テレビや車載テレビなどをメーカーが開発しやすくすることを想定している。