著作権団体らで構成する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は2008年7月24日、私的録音録画補償金に関する記者会見を開催した。この中で日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事の菅原 瑞夫氏は、「DATやMDなど、既に私的録音補償金の徴収額が少なくなっている媒体を、補償金の対象から外すことは十分に考えられる」と表明、電子情報技術産業協会(JEITA)をはじめとするメーカー側に話し合いのテーブルに就くよう求めた。

 菅原氏は、「録音の補償金は間もなく消える。録画の補償金も、Blu-ray Disc(BD)が追加指定される方向になっているが、まだパブリックコメントも金額の議論もされておらず、北京五輪までに政令指定されるわけではない。五輪に向けBD機器・媒体の売り上げが増えても、全く補償されない」と語り、私的録音録画によりメーカーだけが利益を得ている現状を非難した。

 その上で菅原氏は、「権利者側は補償金を拡大させる意図はなく、あくまで消費者が利用している機器・媒体の変遷に従って、補償金の対象機器・媒体もシフトさせたいだけ。そうした意味で、DATやMDを補償金の対象から外すという考え方は、まさにその通り。問題はメーカー側が、そうした考え方すら拒否していることにある」として、メーカー側は対象機器の拡大だけでなく、対象機器の移行にも反対していると強調した。

 会見後の記者との懇談の席で、実演家著作隣接権センター(CPRA) 運営委員の椎名 和夫氏は「メーカー側の中には権利者の考えに理解を示すところも出てきている。今後はそうしたメーカーとも話をした上で、権利者側から補償金制度の見直しに関する提案を出すことも考えていきたい」と語った。