米アップルのスティーブ・ジョブズCEOは2008年6月10日(米国時間)、開発者を対象としたイベント「WWDC 08」で基調講演を行った。この中で、新型の携帯電話機「iPhone 3G」を発表。7月11日に、世界22カ国で同時に出荷することを明らかにした。この中には、日本も含まれる。年内には70カ国へ広げる。

 価格は米国の場合で、8GBモデルが199ドル(約2万1000円)、16GBモデルが299ドル(約3万2000円)。その他の国でも、米国の価格にならう。iPhone 3Gの出荷に合わせて、iPhone 3GやMacintoshから利用できるオンラインサービス「MobileMe」を開始することも明らかにした。料金は、年間契約制で9800円/年(米国の場合は99ドル)。

 iPhone 3Gは、名称から分かるように第3世代携帯電話(3G)に対応した携帯電話機。従来の第2世代(2G)対応だった「iPhone」の後継機の位置付けになる。GSMにも対応しており、2Gと3Gを切り替えて利用できる。日本でiPhone 3Gを扱うのはソフトバンクモバイル。「時差があるので、7月11日にiPhone 3Gを世界で最も早く出荷することになる」(WWDC 08の会場に来ていたソフトバンクモバイル孫正義代表取締役社長)。現時点では、日本における販売価格や販売方法、通信サービスの月額料金などは明らかにしていない。

 iPhoneとiPhone 3Gは外観上の違いがわずかで、背面パネルが金属製からプラスチック製になった程度。大きさは幅62.1×高さ115.5×厚さ12.3mm、重さは133g。従来のiPhoneは幅61×高さ115×厚さ11.6mm、重さ135gだった。色は8GBモデルが黒、16GBモデルが黒と白の2色を用意する。

 機能面での変更点は、OSなどがiPhone 2.0ソフトウエアにアップグレードされ、「App Store」と呼ぶソフトウエア配信サービスへ対応したこと。iPhone 2.0ソフトウエアでは、マイクロソフトの「Exchange Server」との連係が可能になり、メールやカレンダーを同期できるようになった。サードパーティが開発したアプリケーションをインストールできる新機能も追加している。「App Store」にアクセスすることで、iPhone 3Gからサードパーティ製アプリケーションを直接ダウンロードできる。

 また、新たに全地球測位システム(GPS)に対応した。従来iPhoneは、無線LANの電波を活用して測位する仕組みだったが、iPhone 3GではGPSでも現在地を調べられるようになった。無線LAN(IEEE802.11b/g)やBluetooth機能を搭載するのは従来通り。

 新サービスであるMobileMeは、 iPhoneやiPod touch、Macintosh、Windowsパソコンからアクセス可能なオンラインサービス。“アップル印”のクラウドコンピューティングサービスだと考えると分かりやすい。ユーザーごとに20GBのディスク容量が割り当てられれ、自身のデータを格納しておくことができる。単なるオンライン上のストレージとして活用できるだけでなく、Webメール、オンラインアルバム、アドレス帳、カレンダーといったWebサービス用のデータ置き場としても利用できる。

 MoblieMeは、パソコンだけでなく携帯電話からも利用できるのがポイントで、例えば、WindowsパソコンでInternet Explorerを使ってアドレス帳を編集し、直後にiPhoneからアクセスすれば、編集したばかりのアドレス帳を参照できる。同様のサービスを米グーグルも提供するが、アップルが得意とする斬新なGUIや操作性で差異化を図っている。なお、MobileMeの登場により、オンラインサービス「.Mac」はサービスを終える。.Macのユーザーは、MobileMeへデータごと引き継がれる。

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