PC Onlineや「日経パソコン」「日経PC21」誌の、パソコン/スマホ/タブレット記事でおなじみの青木恵美が、スペシャルにお送りする、ディープなAndroidメルマガ。毎回、有用な「イチオシ」アプリを取り上げ、多数の画面イメージとともに操作のキモを手取り足取り徹底解説。イチオシアプリの理解をさらに深めるための「こぼれ話」や、明日にでも人に話したい「Androidよもやま話」も併せて掲載していく。

 今回は、Android端末のバックアップや機種変更時に役立つアプリを紹介する。常用するようなアプリではないが、いざという時に役立ちそうだ。

今週の目次

※動作確認/キャプチャー端末「Nexus 4」(Android 4.3)、「docomo GALAXY NEXUS」(Android 4.2.2)。
※「Nexus 4」は、「AVG AntiVirus Free」にて確認しています。
※「docomo GALAXY NEXUS」は、「アバスト!モバイルセキュリティ」(アプリのバージョン3.0.6572、ウイルス定義バージョン131112-00」)にて確認しています。

はじめに~スマホを新しくしたら、もうダウンロードできないアプリが……

 メインのスマホをグーグルのNexus 4からNexus 5に変えた筆者。それまで常用していたアプリを新しいスマホに移行しようとした。Nexus 5で初期設定などをしてから、「バックアップからの復元」機能を試みた。どうも、Nexus 4上にあるアプリだけを復元するのではなく、今まで入れたアプリを全部復元しようとする感じだった。「バックアップからの復元」は中止して、今度は手動での復元を試みた。

 毎回感じることだが、Androidの復元機能は、端末やOSのバージョンによって、どこまで復元されるのかが不明で、いつも不安がある。これまで何度か試しているが、一度やってみて、思った通りに復元ができればそのまま、そうでない動きがあったら即中止して手動で復元を試みる、という感じにしている。

 Nexus 4の画面を見つつ、手動でGoogle Playストアからアプリを1つずつNexus 5に入れていった筆者。そろそろ仕上げというときに、Playストアで見つからないアプリがあった。

 いろいろ検索すると、そのアプリはすでに提供されていないことが判明した。具体的には、今年(2013年版)のF1とNASCAR(米国の自動車レース)のカウントダウンウィジェットである。今年も残り少ないので、撤去されてしまっていたのだろう。あと1カ月ほどであっても、レースまでのカウントダウンができなくなってしまうと、モータースポーツ好きの筆者の日常生活に影響が及ぶ(笑)。

 「季節商品」以外にも、アプリがPlayストアから消えるケースは考えられる。開発元がなくなってしまったり、何らかの事情でアプリを提供できなくなったり。

 Windowsパソコン用のオンラインソフトなら、パソコンに保管してあるアーカイブ(ZIPファイル、EXEファイル)などを使ってインストールし直すという方法が使える。「窓の杜」「ベクター」などのWebサイト上でアプリを探せば入手できることもある。これと同じことをAndroidで実行するにはどうすればいいのだろうか。

【今週のイチオシアプリ】「APKクリエーター」(131円、機能制限付きの無料版あり、開発元:Neo Engineerss)

 Androidでも、アプリ本体の実行ファイルは旧スマホに残っているので、これを移すには何らかの方法があるはずだと考えた。

アプリをパッケージ形式にして保存できる

 少々込み入った話になるが、Androidアプリは、「.apk」という拡張子のパッケージファイルに収納されている。これを入手して新しいAndroidスマホに入れれば、アプリを復元できそうだ。

 そんな時に見つけたのが、パッケージ形式にアプリを変換してくれる「APKクリエーター」というアプリ。説明にはこうある。

プレイStoreから二度目のアプリをダウンロードするのはうんざり。
簡単な解決策はここにある。
Apkのクリエーターを入手してください。すべてのインストール済みのアプリケーションをバックアップするための素晴らしいツール

 筆者はこのAPKクリエーターを使い、旧スマホの2つのアプリをapk化した。それをオンラインストレージサービスの「Dropbox」に入れ、新しいスマホでDropboxを開いてapkファイルを実行。無事、新スマホにアプリを移行できた。

 とはいえ、このアプリを使っても、設定やデータは移行されない。あくまでアプリ本体のみであることを頭に入れておこう。それから、アプリによってはこの方法でバックアップできないこともある。

 いつものように、利用は自己責任で。今回はAndroid OSの深いところにかかわるソフトなので、よく仕組みを理解して利用する必要がある。

 やはり、アプリはグーグル公認のGoogle Playストアからインストールするに越したことはないのは確かだ。その方が簡単で安全である。ただし、バックアップに困ったときに役に立つケースもあるので、いざというときのために存在を覚えておくとよい。ぜひ今号のメルマガを、次に新しいスマホを買う時などのための「永久保存版」として保管しておいてほしい。

 このアプリは無料版も提供されている。無料版は、基本的には無料アプリのみをバックアップできる。

 では早速、APKクリエーターをインストールして使ってみよう。

APKクリエーターのダウンロードとインストール

 Playストアからインストール。初期画面はこんな感じで、インストールされているアプリ一覧が表示される。

図1 「APKクリエーター」の初期起動画面(筆者のスマホの場合)。
図1 「APKクリエーター」の初期起動画面(筆者のスマホの場合)。
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 この中で、バックアップしたいアプリにチェックを付けて、「Apkの作成/アプリケーション」をタップ。今回は「F1 Countdown Widget」と「NASCAR Countdown Widget」と、「日経電子版」をバックアップしてみよう。

 「Apkを作成したよ」というメッセージと、アプリ名が表示される。確認して「OK」をタップ。

図2 バックアップしたいアプリにチェックを付けて、「Apkの作成/アプリケーション」をタップ。
図2 バックアップしたいアプリにチェックを付けて、「Apkの作成/アプリケーション」をタップ。
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図3 「Apkを作成したよ」というメッセージと、アプリ名が表示されるので、確認して「OK」をタップ。
図3 「Apkを作成したよ」というメッセージと、アプリ名が表示されるので、確認して「OK」をタップ。
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 実は、これで「APKクリエーター」自体の出番は終わりである。

apkファイルを確認

 次に、ファイルマネジャー系アプリで作成されたファイルを確認しよう。この場合は無料の「ESファイルエクスプローラー」を使っている。「sdcard」の「neoengeneerss」フォルダーに、アプリがapkファイルとしてバックアップされているのが分かるだろう。

図4 ファイルマネージャ系のアプリで、作成を確認。
図4 ファイルマネージャ系のアプリで、作成を確認。
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 これらのファイルを移行先のスマホにコピーするわけだが、DropboxのアカウントがあればDropboxに入れたり、USBケーブルでパソコンに接続してパソコン経由でコピーしたり、方法はいろいろある。自分のやりやすい方法でコピーしよう。

 ここからの手順は、Dropboxを使う例を解説する。移行元のスマホはNexus 4(Android 4.3)、移行先はGALAXY NEXUS(4.2.2)を使っている。なお、apkファイルの実行(インストール)には、後述の設定が必要となる以外にも、「APKインストーラー」系のアプリが必要となる場合もある。なお、Android 4.x系では「パッケージインストーラ」という標準アプリがインストールを行うようだ。

 移行元のスマホのDropboxアプリを起動し、適当なフォルダー(ここでは「アプリ」フォルダー)を開き、メニューボタンのメニューから「ここにアップロード」を選び、続いて「他のファイル」を選んで、「内部ストレージ」の「neoengeneerss」から、先ほどバックアップしたアプリをアップロードした。

図5 Dropboxで任意のフォルダーを開き、メニューからら「ここにアップロード」を選ぶ。
図5 Dropboxで任意のフォルダーを開き、メニューからら「ここにアップロード」を選ぶ。
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図6 続いて「他のファイル」を選ぶ。
図6 続いて「他のファイル」を選ぶ。
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図7 アップロードしたいファイルにチェックを付けて、「アップロード」をタップ。
図7 アップロードしたいファイルにチェックを付けて、「アップロード」をタップ。
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図8 アップロード中の画面。
図8 アップロード中の画面。
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 移行先のスマホのDropboxから先ほどアプリのアップロードを行ったフォルダーにアクセス。まずは一番上の「F1 Countdown Widget」をタップ。するとダウンロードが行われるが、続いて「インストールはブロックされました」というメッセージが出てしまうはずだ。

図9 移行先のスマホのDropboxから先ほどアプリのアップロードを行ったフォルダーにアクセス。まずは一番上の「F1 Coundown Widget」をタップ。
図9 移行先のスマホのDropboxから先ほどアプリのアップロードを行ったフォルダーにアクセス。まずは一番上の「F1 Coundown Widget」をタップ。
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図10 ダウンロードが行われる。
図10 ダウンロードが行われる。
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 これを回避するために「設定」をタップ。

図11 続いて「インストールはブロックされました」というメッセージが出るので、「設定」をタップ。
図11 続いて「インストールはブロックされました」というメッセージが出るので、「設定」をタップ。
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 「セキュリティ」が開くので、下にスクロールして「提供元不明のアプリ」をチェックする。タップするとメッセージが出るので、内容をよく読んで「OK」をタップ。「提供元不明のアプリ」にチェックが入ったことを確認して、「戻る」ボタンをタップ(後述するように、作業終了後に元に戻す必要がある)。

図12 「セキュリティ」が開くので、下にスクロールして「提供元不明のアプリ」をタップ。
図12 「セキュリティ」が開くので、下にスクロールして「提供元不明のアプリ」をタップ。
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図13 メッセージが出るので、内容をよく読んで「OK」をタップ。
図13 メッセージが出るので、内容をよく読んで「OK」をタップ。
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 すると、アプリ名と、「このアプリケーションをインストールしてもよろしいですか?」というダイアログが出るので、内容を確認して「インストール」をタップしよう。

図14 アプリ名と、「このアプリケーションをインストールしてもよろしいですか?」というダイアログが出るので、内容を確認して「インストール」をタップ。
図14 アプリ名と、「このアプリケーションをインストールしてもよろしいですか?」というダイアログが出るので、内容を確認して「インストール」をタップ。
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 「インストール中」という画面の後で、「アプリをインストールしました。」というメッセージが出るので、「完了」または「開く」をタップしよう。

図15 インストール中の画面。
図15 インストール中の画面。
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図16 完了画面で「完了」をタップ。
図16 完了画面で「完了」をタップ。
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 アプリがインストールされたことを確認しよう。この場合、アプリのみのバックアップであることの確認として、「日経電子版」をバックアップして復元してみた。起動したところ、IDとパスワードは空っぽだし、ログインしても、データは空っぽである。あくまでアプリ本体のみのバックアップ・復元だと理解しよう。もちろん、クラウドに保管されているアプリのデータなら、そのアプリでログインすればアクセスできる。

図17 日経電子版をバックアップして復元したところ。IDとパスワード、データなどは空っぽで、アプリ本体のみが移行されていると分かる。
図17 日経電子版をバックアップして復元したところ。IDとパスワード、データなどは空っぽで、アプリ本体のみが移行されていると分かる。
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 APKクリエーターの使い方はこんな感じだ。

いざというときのツールとして、活用しよう

 常用アプリがPlayストアからなくなったときなどに活躍する「APKクリエーター」。バージョンアップしたアプリが調子が悪くて使えない場合に、一時的に他のスマホに入っている旧バージョンを移行して使用する、などの措置を取れる。いざというときに重宝しそうだ。

 とはいえ、アプリはPlayストア経由でインストールするのが大原則である。グーグルのチェックが働かない場所からのインストールはセキュリティ上のリスクを伴う。必ずウイルス対策アプリなどでセキュリティ対策を講じたうえで、設定も確認しておこう。必要な作業が終わったら、「提供元不明のアプリ」設定をオフに戻しておくことも不可欠だ。

 この情報があなたのAndroid生活をさらに快適にできたら、筆者はうれしい。

【今週のこぼれ話】「Nexus 5」のことをコラムに書いた~感覚に数値を添えることの大切さ

 前回ここで「Nexus 5」を購入したことを書いた。その後、筆者のPC Onlineの連載コラム「信州ITラプソディ」で詳細をまとめてみたので、興味のある人は読んでみてほしい。

 こうしたコラムを書く際、どこかで数値で測れるものを入れた方が信ぴょう性が上がる。パソコンやスマホなら、ベンチマーク値が代表的だ。計測アプリはさまざまなものが出回っている。ベンチマークアプリにもいろいろと癖がある。ベンチマーク値を比較するときには、条件をそろえるといった配慮も必要となる。筆者は最近では、使っているアプリをすべて終了させ、タスクキラーでタスクやキャッシュを掃除してから、ベンチマークを取るようにしている。

 「暑い」「寒い」などの現象でも感覚だけではなく、温度や湿度などのデータも併用した方が確実である。日常の生活やビジネスの現場で何かを述べたり伝えたりしたいとき、数値でのデータを添えると説得力が上がるはずだ。人間の感覚は、さまざまな要因でばらつきがあるので、数値を見ることが重要だ。

【青木恵美のAndroidよもやま話】Facebookのお友達とパズルゲーム!

 スマホのパズルゲームが大好きな筆者。先日もスマホ&タブレットch.の連載コラムで、パズルゲームのことを書いたばかりである。

 このごろハマっているパズルは「Candy Crush Saga」というもの。キャンディが並んだところを、違う種類の2つのキャンディを入れ替えて、3つのグループを作って消すというゲームだ。

 それだけなら普通のパズルだが、Facebookと連動しているというのが特徴である。連動しなくてもある程度の回数プレーが可能だが、Facebookの友達からライフをもらわないと、それ以上はプレーできなくなってしまう。ただし、友達からもらわなくても、ある程度の時間が経過するとライフは自然回復する。

図18 「Candy Crush Saga」のパズル画面。
図18 「Candy Crush Saga」のパズル画面。
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図19 友達に追加のライフや回数を送って助け合う。
図19 友達に追加のライフや回数を送って助け合う。
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 なので、早く進めたい場合は「Candy Crush Saga」で遊んでいる友達とライフをやりとりしないと、なかなか先に進めない。それぞれの場面(各場面に20程度のパズルがある)で先に進むには、3人の友達から承認をもらわなければならないというルールもある。

 友達からライフや承認をもらえない時は、代わりにGoogle Playストアで小銭(99円とか139円とか)を払うと進めるシステムになっている。もうちょっとでフィニッシュするのに、時間や交換回数(パズルによってクリアする課題が違う)が足りないというときも、小銭を払って回数などの「お助けアイテム」を買うことができる。なんだか、とても「現金な」ゲームである。

図20 「お金の力」での解決も可能だ(笑)。筆者はまだ一度もここでお金を使ったことのないのだが。
図20 「お金の力」での解決も可能だ(笑)。筆者はまだ一度もここでお金を使ったことのないのだが。
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 このゲーム、Facebookの友達から薦められてやり始めてハマっているのだが、その友達を誘ってきたのは、あるとんでもない有名人の方なのだという。「友達の友達」である有名人もこのゲームにハマっているのだろうか。

あとがき

 「よもやま話」でも書きましたが、「Facebookの友達」にはさまざまな人がいます。例えば「自分の家族の顔が写った写真をすべての友達に見せるのはどうか」と思う場合もあります。
 それを解決するには、「親しい友達」という最初から用意されているリストに入れて、その人たちだけに見せる、というのが基本的な方法です。これも最初からある「知り合い」リストには、あまり親しくない友達を入れておき、投稿の際に「知り合い以外の友達」を選ぶという方法もあります。
 筆者の場合は、好きなモータースポーツについて書くことが多いです。あまりにモータースポーツの話題が多いとほかの友達にわずらわしく思われるかと考え、「モータースポーツ」というリストを作って、主にそちらに向けて投稿しています。
 皆さんは、Facebookの投稿先、使い分けていますか? (青木恵美)

 パソコンでもスマホでも、新しい物を購入した時に最も面倒な作業がデータやアプリの移行作業です。Androidの場合、グーグルが自動化の仕組みを用意していますが、上述のように完全ではありません。iPhone/iOSでもデータ復元に手間取ったという話はしばしば聞きます。技術の進歩でいろいろと便利になりましたが、ここだけは何とかならないものでしょうか。(担当・清嶋直樹)

著者プロフィール

青木 恵美(あおき えみ)

青木 恵美(あおき えみ)●長野県松本市生まれ。大学卒業後、書籍編集の仕事に就く。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけでパソコン本の執筆を始め、執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『ホームページの作成と公開』『自分流ブログ入門』(技術評論社)、『YouTube徹底入門』『インターネット&メールスパテク404』(翔泳社)など20冊あまり。最近はPC Onlineをはじめ、日経パソコン誌の特集や連載講座を執筆している。趣味は料理、写真、モバイル、モータースポーツ観戦、洋楽アーティストのライブ鑑賞など。PC Onlineでの連載は「信州ITラプソディ(毎週火曜更新)」「もっと便利に使うためのお役立ちユーティリティソフト(毎週木曜更新)」「もっと便利に使うためのお役立ちiPhone/Androidアプリ(隔週金曜更新)」の3本。「3度の飯よりモバイル機器」な経歴を生かし、ディープな有料メルマガ「PC Online Plus」Androidアプリ版の執筆も。