最近は、「ワイヤレス給電」と呼ぶ、ケーブルが不要な充電方法を採用するスマートフォンも製品化されている。ワイヤレス給電の規格はいくつかあるが、製品化が最も進んでいるのが「Qi(チー)」だ。Qiは国内外の企業で形成する「ワイヤレスパワーコンソーシアム」が策定した仕様である(図A)。

●ケーブルでつながなくても充電できる
図A ケーブルを使わずに充電するワイヤレス給電方式「Qi」の概要。給電側と受電側のコイルの間に磁力線を流し、電流を発生させる
図A ケーブルを使わずに充電するワイヤレス給電方式「Qi」の概要。給電側と受電側のコイルの間に磁力線を流し、電流を発生させる
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 Qiは電磁誘導という仕組みを利用する。給電側の送電コイル(図B)に電流を流すと、受電側の受電コイルとの間に磁力線が流れ、受電側で電流が発生する。受電側の機器を、給電側の機器に置くだけで充電できる。Qi対応機器メーカーである日立マクセルの今津 龍也コンシューマ&ソリューション事業本部 事業企画部 主管は、「Qi対応子機はコネクターやケーブルの抜き挿しが不要で、充電中でもすぐ使えるし持ち出せる。誤挿入による機器破損や故障を防げるなどの利点もある」と話す。防水・防塵などの機能を持つ機器は、その機能を維持できるし、接触不良やショート、感電を防げてメンテナンスも楽といった利点もある。

●給電機器と受電機器はコイルを内蔵
図B Qi対応機器が内蔵するコイルと部品。写真は日立マクセル製品のもの
図B Qi対応機器が内蔵するコイルと部品。写真は日立マクセル製品のもの
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