老後の生活資金のための金融商品の一つに「年金保険」があります。例えば、保険料として1000万円を一括で支払うと、10年後から10年にわたって毎年110万円を受け取れるといった商品です(図1)。単純に計算すると、1000万円を支払えば1100万円を受け取れるので、低い金利(=利率)の銀行預金よりも魅力的に思えるかもしれません。[注]

人気の「一括払い年金保険」とは
図1 例えば60歳時に退職金で1000万円を一括で支払うと、70歳から10年間、毎年110万円ずつ年金を受け取れる。途中で死亡したときは遺族が死亡保険金を受け取れる。
図1 例えば60歳時に退職金で1000万円を一括で支払うと、70歳から10年間、毎年110万円ずつ年金を受け取れる。途中で死亡したときは遺族が死亡保険金を受け取れる。
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[注]図1と図7は、実際にある年金保険を参考にした架空のものです。この条件と同じ年金保険の商品が存在するわけではありません。

 でも、銀行預金よりも本当に有利なのでしょうか?それを確かめるときもExcelの出番。「IRR関数」を使うと年金保険の利率を計算できます(図2~図6)。IRR関数を活用すれば、様々な金融商品を「利率」という基準で比較できます。一括支払い型だけでなく、積立型の利率にも対応します(図7、図8)。

 図1の年金保険の場合、利率は年0.66%。銀行の定期預金よりは高いようですが、この数字で20年間固定されてしまう点は頭に入れておきましょう。

Excelで利率を計算してみよう
図2 Excelで利率を計算する。A列に年齢を入力(1)。B列にはその年に出入りする額を入力する(2)(3)。支払う保険料はマイナスで、受け取る年金はプラスで入力するのがポイント。
図2 Excelで利率を計算する。A列に年齢を入力(1)。B列にはその年に出入りする額を入力する(2)(3)。支払う保険料はマイナスで、受け取る年金はプラスで入力するのがポイント。
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図3 B列の一番下のセル(ここではB22)に数式を入力する。必ず半角で「=irr(」と入力する。「irr」とは内部収益率(Internal Rate of Return)のことで、投資の利回りを表す。
図3 B列の一番下のセル(ここではB22)に数式を入力する。必ず半角で「=irr(」と入力する。「irr」とは内部収益率(Internal Rate of Return)のことで、投資の利回りを表す。
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図4 出入りの額を入力した範囲(ここではB2からB21セルまで)をドラグで選択(1)。選択された範囲が点線で囲まれ、「=irr(」の後に選択した範囲「(B2:B21」が入力される(2)。
図4 出入りの額を入力した範囲(ここではB2からB21セルまで)をドラグで選択(1)。選択された範囲が点線で囲まれ、「=irr(」の後に選択した範囲「(B2:B21」が入力される(2)。
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図5 「Enter」キーを押すと数式が確定して(1)(2)、計算結果が表示される。標準設定では小数点以下が四捨五入されるので、「1%」と表示されている(3)。
図5 「Enter」キーを押すと数式が確定して(1)(2)、計算結果が表示される。標準設定では小数点以下が四捨五入されるので、「1%」と表示されている(3)。
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図6 数式を入力したセルを選択。「ホーム」の「小数点以下の表示桁数を増やす」を何度かクリックする(1)。これで小数点以下まで正確な数字が表示される(2)。今回の保険商品の利率は0.66%ということがわかった。
図6 数式を入力したセルを選択。「ホーム」の「小数点以下の表示桁数を増やす」を何度かクリックする(1)。これで小数点以下まで正確な数字が表示される(2)。今回の保険商品の利率は0.66%ということがわかった。
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