USBメモリーに入れられるのは文書ファイルやソフトだけではない。OSを丸ごと入れて、起動ドライブとして使うことも可能だ。

 起動ドライブとして使うには、パソコンのBIOSが「USBブート」に対応していることが条件だ。BIOSの設定画面を開いて「起動」「BOOT」などの項目に「USB Device」といった選択肢が表示されれば、対応している可能性が高い。BIOSの開き方やその表示内容はパソコンによって異なる。ここでは、USBメモリーにUbuntuとWindowsを入れてみよう。

無料で使えるUbuntu

 Ubuntuは、最も有名なLinux系OSの一つ。WindowsユーザーにUbuntuが役立つのは、パソコンのハードディスクが不調になったときだ。USBメモリーからUbuntuを起動してパソコンをインターネットにつなげば、メールでの連絡やWebサイトでの調べ物など最低限の作業ができる。Ubuntuを通じてハードディスクを読み出し、データを救い出せる可能性もある(図1)。

【緊急起動用として便利な「Ubuntu」】
図1 ハードディスクにインストールせずに起動できるLinuxベースのOS「Ubuntu」を入れたUSBメモリーを作っておくと、Windowsが起動しなくなったときにファイルの救出や緊急の作業などが可能だ
図1 ハードディスクにインストールせずに起動できるLinuxベースのOS「Ubuntu」を入れたUSBメモリーを作っておくと、Windowsが起動しなくなったときにファイルの救出や緊急の作業などが可能だ
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 Ubuntuには、ハードディスクにインストールせずに起動できる「Live CD」という利用方法がある。このLive CDのデータ(ISOファイル)を入手し、「UNetbootin」というソフトで“Ubuntu起動用USBメモリー”を作る(図2、図3)。Ubuntuのデータ量は680MBなので、1GB以上のUSBメモリーがあればよい。

図2 Ubuntu Japanese TeamのWebサイト(<a href=http://www.ubuntulinux.jp/products/JA-Localized/download)から、「CDイメージ」と説明が書かれたISOファイルをダウンロードする">
図2 Ubuntu Japanese TeamのWebサイト(http://www.ubuntulinux.jp/products/JA-Localized/download)から、「CDイメージ」と説明が書かれたISOファイルをダウンロードする
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図3 ISOファイルをUSBメモリーに組み込むためのソフト「<a href=UNetbootin」をダウンロードして起動する。USBメモリーはFAT32でフォーマットしておく">
図3 ISOファイルをUSBメモリーに組み込むためのソフト「UNetbootin」をダウンロードして起動する。USBメモリーはFAT32でフォーマットしておく
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 あとは、パソコンの電源を入れてWindowsの起動前にBIOSの画面を表示させ、USBメモリーがハードディスクよりも先に起動するよう設定するだけだ。これで、Ubuntuが立ち上がる(図4、図5)。

図4 Ubuntuの入ったUSBメモリーを挿した状態でパソコンの電源を入れる。起動時にBIOSの設定画面を開き、起動ドライブをUSBメモリーに指定する。<a href=UNetbootinのメニュー画面が表示されたら「Try Ubuntu without installing」を選ぶ。するとパソコンの中のWindowsは残したまま、USBメモリーからUbuntuを起動できる">
図4 Ubuntuの入ったUSBメモリーを挿した状態でパソコンの電源を入れる。起動時にBIOSの設定画面を開き、起動ドライブをUSBメモリーに指定する。UNetbootinのメニュー画面が表示されたら「Try Ubuntu without installing」を選ぶ。するとパソコンの中のWindowsは残したまま、USBメモリーからUbuntuを起動できる

図5 Ubuntuのデスクトップ画面が開く。OfficeソフトのLibreOfficeやWebブラウザーのFirefoxがプリインストールされているので、すぐに基本的な作業はできる。ハードディスク内のフォルダーが開けるので、ファイルの救出なども可能だ
図5 Ubuntuのデスクトップ画面が開く。OfficeソフトのLibreOfficeやWebブラウザーのFirefoxがプリインストールされているので、すぐに基本的な作業はできる。ハードディスク内のフォルダーが開けるので、ファイルの救出なども可能だ
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