深夜に帰宅し充電を忘れてそのまま寝てしまった、大詰めの商談やトラブルで普段より多く音声通話を使ってしまった、メールやTwitterなどのアプリでメッセージを自動受信にしていたらあっという間に電池を消耗していた──前章までの対策を講じ、万全の準備をして使っていても、電池不足のトラブルは起こり得る。そんなときに助けてくれるのが、街中にある電源サービスだ。

来店者にコンセント提供

 電源サービスは、店舗や公共交通機関などの客席に利用者が自由に使えるようサービスとしてコンセントや充電用端子を設置するものだ。

 全国ほぼ全ての店舗で電源サービスを提供しているのは携帯電話事業者だ(図17)。店舗に設置している充電ボックスで、スマートフォン用のMicro-USB端子や従来型携帯電話の充電用端子が出ており、対応端末の充電が可能だ。こうしたボックスがない店舗や、大型のスマートフォンでボックスに入らない場合も、窓口で充電を依頼すれば対応してもらえることが多い。喫茶店・ファストフード店といった外食産業や、長距離の鉄道・航空路線の客席などには、100Vのコンセントを設置する例が増えている(図18)。充電器を持参すればスマートフォンや従来型携帯電話に加え、ノートパソコンの充電にも使える。「喫茶室ルノアール」などを運営する銀座ルノアールのように、ほぼ全店で電源サービスを提供し、さらに店頭で携帯電話の充電器を貸し出す例もある。ほかの外食産業では企業により設置率は異なるが、全般にビジネス客が見込める都心部の店舗で、ここ数年に開店・新装開店したところでは設置例が増えている。(外出先で使える主なコンセント/充電スポットの提供場所

【携帯ショップはほぼ確実】
図17 大手携帯電話事業者3社の専売店は、ほぼ全店でスマートフォン/従来型携帯電話の充電サービスを実施。大型のスマートフォンは店頭の充電ボックスに入らないことがあるが、その場合は窓口で対応してくれることが多い
図17 大手携帯電話事業者3社の専売店は、ほぼ全店でスマートフォン/従来型携帯電話の充電サービスを実施。大型のスマートフォンは店頭の充電ボックスに入らないことがあるが、その場合は窓口で対応してくれることが多い

【飲食店や空港にも充電スポット】
図18 飲食店では、ビジネス客の多い都市部の新店を中心に、コンセントの設置が進む(上)。韓国サムスン電子は羽田空港に無料の充電スポットを設置している(下)
図18 飲食店では、ビジネス客の多い都市部の新店を中心に、コンセントの設置が進む(上)。韓国サムスン電子は羽田空港に無料の充電スポットを設置している(下)

 鉄道会社では、2007年から運行している東海道・山陽新幹線の「N700系」がコンセントを多数設置したことで注目を浴びた。これ以降に製造された新幹線や在来線の特急車両でも設置が増えている。

 航空会社でも、国際線のプレミアムエコノミーやビジネスクラスなどの特別席では電源サービスが標準になりつつある。エコノミークラスでも「2010年以降の国際線向け新造機では全席に設置している」(全日本空輸)など導入が進む。国内線の導入例は少ないが、新興航空会社のスターフライヤーは運航開始当初から全席にコンセントを設置済みだ。